■旅日誌
[2008/11] 伊達な旅、みちのく晩秋
(記:2008/12/28 改:2022/1/1)
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三連休を使って東北地方のジョイフルトレイン3本をはしごすることにしました。それぞれ特徴があり乗り心地も快適でした。振り返るとちょうど1年前も同じようなことをしてましたが、今回もまたのんびり汽車旅です。
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 1日目
ルート概略
【寄ったところ、乗ったもの】※詳細はこちら
仙台、こがねふかひれ、気仙沼、盛、釜石、新花巻
思い切って三連休を使ってお出かけしてみることにした。秋も深まり日も短くなっていたのだが、時刻表と相談しながら東北地方をまわるルートひねり出す。ところが、三連休のためか指定が取れなかったところもあり、修正を入れてルートを決める。ちょっと不満は残ったが、まぁ仕方がない。まずは手始めにこがねふかひれ号に乗るために新幹線で仙台へ向かう。おもいで湯けむりのときよりは少しだけ遅い時間であるが、朝食は新幹線の中でとることにした。それと今回も先日の新幹線と同様、PCを開いて"作業"にいそしむことにした。
こがねふかひれ号
というわけで、あっという間に仙台に到着、今日も他に用事はないので早速在来線のホームへ向かう。先に乗車位置を確かめようと思ったら、三連休の初日ということもあってか既に長蛇の列ができていた。指定をとる必要はないだろうと高を括っていたのだが、席につけるのか不安になってきた。やむなく列には並んでみたが列車を待つ時間が長く感じられる。入線とともに列の先頭から順に乗り込んでいったものの、不安は的中、もともと座席の数も少ないだけに瞬く間に席は埋まってしまった。席がなくウロウロする人を掻き分け、ここは迷わず先頭の展望席へ向かうことにした。1号車=指定席の先はフリースペースになっていてここは自由に着席していいことになっている。運転席の周辺の閉じたスペースなので分かりづらいかもしれないが、先客はいたが幸い余裕はあったので自分用のスペースを確保する。長時間の利用は遠慮するように…といった注意書きはあったが、背に腹は代えられないのでしばらくここに居座ることにした。これで立ちっぱなしは避けられそうである。
こがねふかひれ号・展望席からの眺め
先頭の展望席には入れ代わり立ち代わり色んな人がやってきてあまり落ち着かなかったが、それに文句を言うつもりはない。こがねふかひれ号に使われているこがね編成は、昔グラシアとか呼ばれていたが、リニューアルされていまの名前で再デビューを果たしたことのある列車である。座席の並びが特徴で変幻自在にレイアウトできるようになっている。車齢はそこそこいっているものの、手の入った内装はまだ新しく、普通車扱いにしてのにはもったいない=乗り得感のある列車である。ここ最近は、主に週末にこがねふかひれ号として気仙沼を往復しており、今日は気仙沼まで乗り通すことにしている。
大船渡線
小牛田で東北本線に別れをつげ、さらに前谷地で分岐して気仙沼線へと入っていく。周囲は田んぼばかりののんびりとした風景が続き、時折太平洋が顔をのぞかせている。車内は相変わらずの混みようで座席は空きそうになかった。しばらくするとこのスペースにやって来る人の数も減り、最後は貸し切り状態で前方の景色を楽しんでいた。そうこうしてるうちにこがねふかひれ号気仙沼に到着、ほとんどの人が仙台から乗り通したみたいで、自由席では最後まで立ちっぱなしの人もいたようである。少し申し訳ないようにも思ったが、最初の列車の旅は十分に堪能できた。さて、特にここで観光するわけでもないので、次はまもなくやってくる大船渡線に乗り継ぐことにしている。そういえば昼食のことをまったく考えていなかったが、幸いにも駅に売店があり、中をのぞいてみると適当なお弁当があるので、そいつを買い込むことにした。最近は売店が閉鎖されることも珍しくないので、こういうときはとてもありがたく感じる。
盛駅
駅のホームを吹き抜ける風はとても冷たく、まもなく冬がやってくることが実感できる。しばらくして到着した大船渡線の列車からもどっと人が降りてきて、ここで一気に空いたようである。余裕でワンボックスが占有できるほどとなり、早速お昼にすることにした。車窓は山間の紅葉が続いており、のんびりと食事をするには最高の状況である。大船渡まで下りてくるとあとは海沿いを進み、やがて終着のへと到着する。さらにここで三陸鉄道に乗り継いで北上を続けていくことにする。から先は石灰石を運び出す貨物線が続いているのだが、最近では扱い量も減ってきており、ちょっと元気がないようにも見える。周囲には何もないので、JRとは別になってる三陸鉄道の駅舎に移動することにした。中の待合室に入ると、次の列車を待つ人で程なく席は埋まっていた。何気なく壁のポスターに目をやると、赤字なのでもっと乗って欲しい…と訴えかけるたポスターがあり、かつての三セクの先駆者も苦戦していることがうかがえる。今日はこれでも少しは貢献できたのだろうか?
三陸鉄道
今度の列車はダイヤ上JR線直通便なのだが、落ち葉による空転=遅れを避けるために直通運転を中止している、という案内が出ていた。やがて折り返しの列車がやってきて、車内でしばらく待ったあと、列車盛駅を出発、西に傾きかけた日差しを感じながら先へ進んでいた。新しい路線だけあって線形は直線に近く、高架とトンネルが続いており、海が見えるポイントは意外と少ない。観音様が見えてくると間もなく終点、1時間ほどで釜石に到着し、ここでも慌しく乗り換えなければならない。ここから先、釜石線の進路は西向きに変わるものの、徐々に日が暮れてしまい、陸中大橋の通称オメガループでは暗くて外の様子がよく分からなかった。秋の日は短く、あとは本当に真っ暗なところひたすら行く感じだった。今日は最後まで乗り通すつもりはなく新花巻で下車し、どんな駅か確かめておいてから、新幹線でお隣の北上まで移動するつもりである。何となく盛岡に宿泊するのは気乗りがしなかったのだが、こんなことができるのも三連休パスのおかげかもしれない。
釜石大観音
 2日目
ルート概略
【寄ったところ、乗ったもの】※詳細はこちら
北上、盛岡、伊達な仙台・宮城号、山形、新庄、横手
北上駅で降りたのも随分と久しぶりのことになる。当初から早起きするつもりだったが、それよりも随分と早く目が覚めてしまい、何を思ったかPCに向かって11月30日の0系新幹線の予約状況を確かめてみると、何と残席ありの表示が出ている。一瞬自分の目を疑ったが、後先のことはまったく考えずに勢いで予約を入れてしまう。(後日談:そのときの旅日誌はこちらです。)恐らく、ツアーか何かの団体のキャンセル返しがあったものと思われるが、本当に運がいいとしか言いようがない。新大阪なら宿は何とかなりそうだが、帰りの飛行機はまだ割引が効くうちに押さえておこう。
Kenji編成・伊達な仙台・宮城号
先程申し込んだ指定券を北上駅で発行し、ついでに予約状況をみると既に満席になっていた。新幹線で盛岡へ向かい、今日のお目当ての列車を目指すことにする。途中雪も舞い始めたようで、今日は一段と寒くなるかもしれない。ところで、今日も指定が取れていないので、昨日のこがねふかひれ号のこともあり早めに並んでおくことにした。ところが、今日は肩透かし状態でまったく余裕といったところで、並んでいる途中北海道からやってきたという親子連れとしばし談笑などして時間を過ごすことになった。次の列車は伊達な仙台・宮城号と名前が付けられていたが、使われるのはKenji編成で、普段は北山崎号として盛岡から北三陸を往復している。そっちはまた機会があったら行ってみるとして、今日は仙台地区のキャンペーンのため盛岡から"出張"することになっていた。(後日談:あらためてKenji編成に乗車する機会がありました。そのときの旅日誌はこちらをご覧ください。)
伊達な仙台・宮城号
Kenji編成の名前は言うまでもなく宮沢賢治に由来するものだが、緑色の車体に岩手の景勝地の写真が大きくペイントされている。この三連休は東北本線を臨時の快速列車として仙台まで一往復することになっており、先頭にも伊達な仙台・宮城号との表示が出ていた。自由席車は1両だけだったが、ちょうど座席が埋まる程度でそんなに混雑はしていない。座席はゆったりとして、こちらも普通列車としておくのは非常にもったいない快適なつくりだ。伊達な仙台・宮城号は盛岡を定刻に出発、軽やかな足取りで仙台を目指していた。花巻、北上と主要な駅に停車しながら先へ進む。車窓の田んぼはとっくに刈り入れも割ってしまい、大穀倉地帯もあとは冬を待つばかりといったところだろうか。そうか、こんどは平泉あたりにでも足を運んでみようか。(後日談:あらためて平泉へ訪問したときの旅日誌はこちらをご覧ください。)新幹線とはまた違ったペースなので、車窓の移ろいも心なしこちらの方が心地よく感じた。
東北本線・車窓
単調な景色に程よく暖房も効いてところどころうっつらしてしまったが、気がつけばもう小牛田に到着、昨日乗ってきたこがねふかひれ号が横で出発を待っていた。松島の景色をやり過ごしたあとはもうまもなく仙台へと到着することになる。もっと退屈するかとも思っていたが、まったくそんなことはなかった。列車は仙台に到着、横断幕を持った駅員の歓迎を受けてこの列車を後にした。今日も観光などの予定もなく、ひたすら移動にあてることにしてある。仙台駅の中でお昼を済ませ、ホームで次の列車を待つことにした。
仙山線
当初は新幹線をふたつ乗り継ぐ予定だったが、あまりにも味気ないので仙山線山形を目指すことにしている。何だかんだで昔はよく利用していたように思うのだが、ここのところご無沙汰気味なので、久しぶりにこのルートをたどることにする。それにしても車両はすっかり様変わりしてしまい、あらためて時の流れを感じる。愛子行きの区間便を先にやり過ごして快速山形行きは出発となった。お隣のボックスではお弁当を広げて談笑をしていたが、この路線でロングシート車じゃあまりにも悲しすぎる。作並を過ぎたあたりから徐々に勾配はきつくなり、やがてあたりは山岳路線の様相となる。標高も上がり峠が近くなると、すっかり雪景色となっていた。面白山のトンネルを抜け、山寺を右手にみたあと、周囲は里の様子に変わりやがて列車山形に到着した。(余談:山寺を訪問したときの旅日誌はこちらをご覧ください。)
仙山線・車窓
山形駅新幹線の開業で随分と様子が変わってしまったが、その後も西口の開発などもあって、さらに様子が違ってきていた。それこそ山形にはちょくちょく来ていたこともあって馴染みのある場所だったが、もうすっかり浦島太郎状態である。あたりを散策しながら軽く時の流れにショックを受けたあと、下りの新幹線に乗り継いでいく。その新幹線初代の車両から近いうち世代交代が予定されているという。今日も乗ったのも2代目だった。北上するにつれ車窓の風景は晩秋から初冬へと変わり、終着新庄に到着、引き続き今日の最終目的地である横手まで向かうことにする。そうか、奇しくもちょうど一年間と同じ筋になってしまったか…。新庄をあとにするときはとっぷり日も暮れてしまい、今日も最後は真っ暗闇の中の移動となってしまった
山形新幹線・新庄駅
 3日目
ルート概略
【寄ったところ、乗ったもの】※詳細はこちら
秋田、酒田、新庄、リゾートみのり、仙台
横手駅から奥羽線の普通列車秋田へ向かう。去年はもっと雪が多かったが、それでも関東あたりとは違う厳しい冬がもうそこまでやってきているようである。今日はもっと他にも行けそうなところを探してもよかったのだが、あまり深いことを考えずに秋田から南下することにしていた。急行あおもりのとき以来の日本海を見ながらいなほで朝食をとる。東側の車窓から差し込む日差しがとてもまぶしい。やがて鳥海山の姿が見えてきた。
いなほ
のんびりとした時間が過ぎていき、酒田いなほを降りる。次の列車まで時間があるので、鶴岡のときを思い出しレンタサイクルを借りてちょっとだけ散策することにした。酒田に寄るのもちょうど一年ぶりのことになる。旧本間邸に立ち寄り山居倉庫へ向かう。川沿いの大きな欅と倉庫群の様子は、以前のままだった。建物の近くを歩いてみると、中の古い町並みでは映画の撮影をしていた。特に庄内地方にはこうやって撮影が行われることが多いようである。
酒田
酒田駅へ戻り陸羽西線新庄へ向かう。余目を過ぎて山間部に差し掛かると車窓は雪景色となる。しかし、まだまだ本格的な冬といった感じではない。列車は最上川沿いにしばらく進み、新庄へ到着。次はお目当ての列車なのだが、ここでもまだしばらく時間があるので、を離れて昼食をとりにそこらを歩いてみることにした。
陸羽西線
新庄駅に戻りリゾートみのり出札を待つ。リゾートみのりはこの秋デビューしたばかりでおもいで湯けむりのあとを継ぐ形で臨時列車として季節運転されている。改札が始まりホームに進むと茶系の落ち着いた車両が待ち構えていた。その色合いは沿線の紅葉をベースに稲穂のみのりをイメージしたもので、正面の面構えも凛々しく、X型の塗装は伊達政宗の兜を意識したものだという。車内の設備もすっかり改装されており、余裕のあるつくりはリゾートしらかみきらきらみちのくに雰囲気は似てるようである。とにかく、新車と見間違えるほど内外装ともにきれいに仕上がっていた。リゾートみのり新庄を定刻に出発した。
リゾートみのり
今日のリゾートみのりはほぼ満席、その盛況ぶりがうかがえる。しばらく流れる車窓に見入っていたが、日が短い時期だけあって暗くなってくるのが早いように感じた。上下交換での停車など繰り返しリゾートみのりは晩秋の奥の細道湯けむりラインを進んでいった。列車は古川へ到着、ほとんどの人が新幹線へ乗り換えていったようで、車内は一気にがらんとしてしまった。この旅三度目の小牛田を過ぎて、東北線に入ったあともリゾートみのりは残りの行程を淡々と進んでいく。途中後続の列車に追い抜かれたりなどして無事仙台に到着した。
リゾートみのり
あとは仙台から新幹線で帰京するだけになってしまったが、三連休も過ぎてしまえばあっという間、ほとんど乗りっぱなしだったが、今回利用したジョイフルトレインはどれも快適で、非常に乗り得感のある列車ばかりだった。これを機にまたどこか行きたいものだ。
リゾートみのり