■旅日誌
[2007/9] 全国空港制覇~山形
(記:2007/9/17 改:2021/12/16)
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正月に突如巻き込まれたプロジェクトからようやく開放され、気持ち的にひと区切り付けたくなってたところ、全国空港制覇を成し遂げようと思い立ち山形へ日帰りでお出掛けしてきました。まさかこんな早くに達成できるとは思っていませんでしたが、最後に残ったのは庄内空港と山形空港。早朝の便で庄内へ渡り、山寺へ寄ったあと、午後には山形から帰ってきました。欲を言えば一泊したいところでしたが、タイミング的にもいい気分転換にはなりました。
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 日帰り
ルート概略
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B737-700(ゴールドジェット)、庄内空港、山寺、山形空港
トンボ帰りするにはもったいない場所ではあるのだが、前振りの通り、今日は日帰りと決めてかかる。羽田の出発時刻は7時20分とかなり早い。ギリギリになるのはイヤなので、始発に乗って少しでも時間に余裕を持たせるようにした。暗い中家を出ると、未だ明け切らない空には糸のように細い月が輝いていた。東京から庄内空港へは一日数便、そのうち何本かはANAの最新鋭機B737-700が運用に就いており、先日の山口宇部=JALのB737-800と立続けになってしまうが、B737のNGシリーズに狙いをつけてみる。羽田に着き、いつものようにラウンジで時間を過ごしていると少し空模様が怪しくなってきた。こりゃ一雨くるかもしれないぞ。搭乗時刻が近づき、指定された搭乗口へと向かう。
ANA・NH893便・庄内行き
まだこんな時間なので、ロビーはがらんとしていた。朝日よけのためかカーテンが掛けられていて外がよく見えないが、目を凝らしてみると、、、おっと、これは運がいい。ゴールドジェットがボーディングブリッジの先に泊まっているいるのが見えた。ANAのB737-700は正確にはエアーニッポンの持ち物で、名古屋をベースに中国や台湾にも飛んで行く。その名古屋にちなんで導入された1号機と2号機はあっと驚くような金色の塗装が施され、一部には「金シャチ」なんて呼ばれ方もされている。最近では広く国内線のローテーションにも組み入れられ、今日のように地方ローカル線にも就航している。やっぱり降り出してしまった雨を眺めつつ早速乗り込むことにしよう。
金色のウィングレットと富士山
ゴールドジェットは運用についてからまだそれ程時間が経っておらず、車で言ったら新車の部類に入る。座席の足回りもすっきりして、同じB737でもクラシックタイプとは随分と違う印象だ。日曜早朝の下り便だから仕方ないかもしれないが、着席率は20~30%といったところか、かなりのガラガラ状態だった。「金の鯱」は定刻で出発、テイクオフ後、東京の上空を抜けると雲の合間から時折"下界"の景色をみることができた。雲がかかっていたのは羽田周辺だけだったみたいで、黄金のウィングレットの先には富士山も見える。こうしていると、一瞬だけでも普段の嫌なことを忘れられそうである。水平飛行の時間はほんのわずか、ベルト着用サインが再び点灯し着陸のために高度を落として行く。白い雲にちょうどこの飛行機の影が映り、ブロッケン現象を起こしてまあるい虹模様が浮かび上がっていた。鳥海山を背に日本海の上空をかなり先まで進み、旋回してから庄内空港に向かってアプローチに入る。スーッと下りてきた後、ストンとタッチダウン。シップの性能がいいのか、キャプテンの腕がいいのかよく分からないが、非常にスムーズなランディングだった。
庄内空港
庄内空港ができたのは比較的最近のことで、山形県で二番目の空港として知られている。もうひとつの山形空港はというと、歴史は古いが特に新幹線との競合が激しく相当な苦戦を強いられている。今日の帰りはそちらへまわるつもりだが、陸路でやってくることを考えると庄内空港の存在意義はそれなりにあるようにも思える。遠くの人間にはなかなか分かりづらいことかもしれないが、庄内地方と内陸の村山地方とでは、歴史的な"生い立ち"も人や物の流れもまったく異なり、違う文化圏にあるといってもいいくらいで、そういう意味では同じ県にふたつの空港があってもいいのかもしれない。しかしながら現在の行政下においては、財政的な面からも両方抱え続けるのは相当辛いのではないかと心配したくなる。まぁ、それはそれとして、朝の8時半だというのにこうして山形県の奥の方までやって来れてしまうのだから、便利なのには違いない。少し余裕もあり売店など眺めたあとで、レンタカーのカウンターに向かうと、不思議なことに乗ってる人の数は少なかったにも関わらず先客で列ができていた。
庄内地方
順番が最後になったお陰で、窓口の人が駐車場まで車を取りに行ってくれた。建物の前で待ちながら財布の中を探すと、、、ない、しまったETCカードを抜いてくるのを忘れてしまった。まぁ、そんなことくらいよしとしよう。とりあえず、空港のすぐ脇のICから高速に乗ってしまおう。だぁーれも走ってない高速道路というのも地方にいけば当たり前なのかもしれないが、過剰投資でなければいいけど…。途中、これといって見てまわる場所もないのでPAに寄りながらのんびりと行くことにした。途中、高速道路が途切れるところがあり、湯殿山麓を下道で行く。下道といっても歩行者は入れない自動車専用道路で、高規格のトンネルは将来高速道路がつながるのを見越してつくられたようである。かなり昔に出張で来たときは、鶴岡から山形まで国道112号をバスで移動したが、随分と印象が違っている。山形北ICで高速道路を下りて、カーナビと実際の標識を頼りに山寺方面へ車を進めていった。
山寺
特に迷うようなこともなく到着すると、沿道ではお店の人が駐車場を利用してくれと積極的に手招きをしていた。そうなると逆に入りづらくなり、結局、距離はあるが手前にあった公営の駐車場まで戻ることにした。山寺はかつて一度だけ来たことがあったが、あと一度や二度は来てみたいと思ってた場所で、何だか少し懐かしくなってきた。山間ののんびりとした町並みの雰囲気を感じながら、紅葉川にかかる橋を通ったりしてしばらく散策する。久しぶりに山寺駅にも立寄ってみたが、この落ち着いた雰囲気がまたいい。振り返って山の方に目を向けると、山の中腹の緑の中に小さな建物が見えた。さぁ、早速登ってみることにしよう。
山寺駅
最初の階段を上がって本堂の前を通り過ぎてていくと、夏休み過ぎだというのに多くの人でごった返していた。今日も残暑というにはちょっと暑すぎる陽気である。300段はあるという階段をひとつひとつ登っていく。一段登るごとに煩悩がひとつ消えると聞いたような気がするが、こんなに煩悩に悩んでる人がいるものだろうか?などと訳の分からない理屈を考えながら、一段一段登っていく。杉木立にセミの声が響き渡り、芭蕉が詠んだ句はまさしくこんなだったのかな?と想像してみる。時折休憩しながら、ようやく最後の奥の院までたどり着いた。噴出す汗は留まる気配もなく、日陰を探してひと息いれる。少し下の方に目を転ずると風情のある情景がそこにあった。
山寺・奥の院
お参りを済ませ、最後に五大堂へ移動する。足元には山間の小さな町並みが見渡せ、見事なまでの美しい景色が広がる。苦労して登ってきただけあって、まわりの人もみなその表情はどこか充足感に満ちている。もうしばらく、この箱庭のような眺めを見ておこう。それから10分くらいしただろうか、ちょうど仙山線の列車がやって来て山寺駅を通り過ぎていった。まるでジオラマの世界である。
山寺
ふもとに着く頃にはすっかりひざも笑うような状態だったが、無事に"プチ修行"を終え、近くでお昼にすることにした。そこで目にとまったのが手打ちソバと芋煮のセット、どうせなら一度に楽しむことにしよう、、、ということで、力こんにゃくまで付いて絶妙の山形セットの出来上がりである。冷たいお茶で体も気持ちも落ち着かせ、出て来た食事に箸をつけることにした。まだ新ソバの季節には早いが、コシがあってツルツルっと入ってくのど越しがまたたまらない。野菜たっぷりの芋煮もやさしい味付けで、疲れた体に染みわたる。もうひとつの山形名物、玉こんにゃくは実は大好物だったりするのだが、この辺りでは"力こんにゃく"と呼ばれ、とてもいいアクセントになっている。いやぁ、日本人で本当によかった…と思える瞬間だった。(余談:多摩川のBBQも悪くはないですが、断然、最上川の芋煮会ですね。)最後にもう一度山寺駅へ行ってみると、仙台行きの普通列車が入ってくるところだった。その列車を見送り、この場所のあとにする。わずか2、3時間ではあったが、すごく充実した時間を過ごすことができた。これでまた1週間頑張れそうである。
山寺・五大堂からの眺め
今日は空路東京へ戻ると決めていたのだが、潜在的に山形=新幹線という意識が強く、山形から飛行機に乗るというのもやっぱり変な気分である。というせいもあってだろうか、全国空港訪問の旅もいよいよ大詰め、ラストはここ山形空港になってしまった。山寺から山形空港までは、時間にして30分くらいとそれ程遠い場所ではない。車を空港の駐車場に停めたまま、カウンターでレンタカーの返却手続きをして、最後の"ミッション"に備える。空港の建物はちょうど外壁の工事を行っていたが、年季ものの空港はどことなく疲れたように思えてならない。地元自治体の補助で飛行機を飛ばしてるとも聞いたことがあるが、この先も続けるのだろうか。
手打ちそばと芋煮
一日一往復しかない便には、JAL EXPRESSのMD81型機が使われており、短い滑走路でも問題がないような機材があてがわれていた。ただこれも古さは否めず、今朝のB737NG機に比べるとかなり見劣りする。MD81/MD87機は退役が近いといわれているが、この先のことはまったく分からない。ところが、いざ乗ってみるとほとんど満席の状態で、どうやら東京から乗り継いで地方に帰っていく団体客が多いようだった。なるほど、そうやって搭乗率を上げているのか…。ほぼ定刻での出発となったがMD81機は上昇するとすぐに着陸態勢へ移行、飛行時間はおよそ40分で飲み物サービスも行われなかった。最後はあまりにもあっけない終わり方になってしまったが、これで定期便が乗り入れている日本の空港に降りるか、乗るかで全てに足跡を残すことができた。さて、次なる目標を探さなければいけないかな?(後日談:その後も新しく開港した空港を訪問しています。富士山静岡空港茨城空港岩国空港南ぬ島石垣空港みやこ下地島空港を訪れときの様子はそれぞれの旅日誌をご覧ください。)
山形空港