■旅日誌
[2008/9] 一分たぬことか
(記:2008/11/2 改:2010/9/18)
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折角の三連休でしたが体は空きそうにもなく、カレンダーとにらめっこしながらある列車の空席照会をかけてみたところ運よく残席が出てきました。というわけで、急遽日帰り強行軍を構えることに…。仙台から陸羽東線の新庄経由で鶴岡へ抜けて庄内空港から舞い戻ることにしました。
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 日帰り
ルート概略
【寄ったところ、乗ったもの】※詳細はこちら
仙台、おもいで湯けむり、新庄、鶴岡、庄内空港
7月のときとまったく同じ状況だったが、三連休の真ん中に休めないか考えていたところへ、ある列車の予約がとれてしまったので急遽そいつに乗りに行くことにした。さらにその先のつなぎを模索してみたところ、タイミングよく庄内から戻ってこれる便がある。というわけで、帰りの飛行機を押さえ何となくスケジュールがつながってしまった。そんなわけで慌しい出発の予感はしていたが、案の定、当日の早朝に帰宅してそのまま出発するパターンになってしまった。この際そんなことはどうでもいいが、朝の新幹線の時刻を調べてなかったので大慌てで東京駅へ向かうことにした。とりあえず7時頃の新幹線に乗ってしまえば何とかなりそうだ。体を休めるのは、その後仙台に着くまでの間と考えておこう。
おもいで湯けむり
十分休息がとれたとは言いがたいが、とりあえず仙台までやってきた。特に用はないが一旦建物の外に出てみた。仙台駅で下車したのはとても久しぶりのような気がする。いまここでお土産など物色する気もないので、ホームに下りて目的の列車の待つことにする。おもいで湯けむりと名づけられたその列車は、古くなった車両をかつての修学旅行列車を模して再塗装されたもので、いわゆる企画もののひとつある。キハ58・28の系列といえば、かつては地方を中心に急行列車として全国津々浦々で活躍していたが、寄る年波には勝てず気がつけばめっきりその姿は減ってしまった。そもそも急行というランクの役割が曖昧になってる今日、その流れは仕方のないことのようだ。
おもいで湯けむり
そんな逆境の折も折り、次の点検更新まで余裕のあった車両を使ってリバイバルトレインに仕立てたというをどこかで目にした記憶がある。ご時勢柄、そんな企画を通してくれた関係者の心意気にはひと言お礼でもいいたい気分である。タネ車はこの間まで仙台地区を走っていた南三陸号なのだが、それにしても、なぜ修学旅行なのか、それも温泉地を走るのか?ということになったのだろう。まぁ細かいことはどうでもいい。実はこの企画、春先限定のことだったらしいが、後継のリゾート列車の製造が遅れたため秋まで引っ張ったようである。ということもあって、9月中にもし間に合えばと思ってたところに今回チャンスに恵まれたというわけである。(後日談:後日あらためてその後継のリゾート列車=リゾートみのりに乗りに来る機会がありました。旅日誌はこちらです。)
陸羽東線・鳴子温泉
おもいで湯けむり号が入ってきたときには出発まであまり余裕はなかった。確かに鮮やかな朱色とオレンジ色は人目を引く。大きめのヘッドマークもまた非常に目立つ。早速中に乗り込むと、座席は特急列車並みのリクライニングシートに交換されており、ゆったりとしている。しかし、そのため窓と座席の位置が少々ずれてしまってるようでもある。この列車は週末を中心に設定されており、わずか2両編成だが全席指定でそこそこ人気もあるようだ。指定された座席は車両の真ん中の窓際、ちょうど窓枠と座席の位置がぴったり合う場所だった。直前にもかかわらずベストポジションの席がよく空いていたものだと我ながら感心する。列車は定刻に出発、急行型とはいえ、いまどきの車両と比べると出足の鈍さはは否めない。が、足元で唸ってるエンジン音はどこか頼もしさすら感じる。に乗るのも久しぶりである。
おもいで湯けむり
途中、松島をかすめながら小牛田まで東北本線を北上する。(後日談:松島を訪問したときの旅日誌はこちらをご覧ください。)懐かしいオルゴール音から始まり、停車駅の案内などアナウンスが入る。空調が非力で故障につながるので窓は開けないように…というくだりはご愛嬌か、思わず苦笑してしまった。小牛田を過ぎて陸羽東線に入り、新幹線の接続駅である古川を越えたあたりから本格的な田園風景と変わってきた。宮城県といえば、言わずと知れたササニシキの産地であり、これから本格的なみのりを迎える時期となる。座席もほぼ埋まり乗車記念証が配られ、この列車の由来や沿線の紹介など、いかにも観光列車らしい演出が続く。やがて列車は温泉地帯へと差し掛かり、鳴子温泉駅で長時間停車となった。
おもいで湯けむり
観光協会の駅長さんやら関係者の方々のお出迎えでたいそう賑やかだった。ここで一斉に写真撮影会となるのだが、時間に余裕があるので、とりあえず外にみることにした。あたりはかすかに硫黄の臭いがする。鳴子温泉の駅には足湯の設備もあり近代的でたいそう立派な建物である。列車の到着に合わせパンフレットを配ったりと、あらためて地元の期待を感じる。小牛田方面へ向かう列車との交換を行って、少し落ち着いたところで、列車の姿を写真に収めておくことにした。
陸羽東線・沿線の風景
鳴子温泉を後にして、さらにおもいで湯けむり号初秋の風景の中を進んでいた。太平洋と日本海のサミットまでは勾配が続き、スピードは落ちながらもエンジン音を唸らせながら列車は走っている。色づいてきた山々、黄金色の稲穂、白い蕎麦の花、あらためて日本の風景の美しさを感じる。最後に最上駅で小休止したあと、終点新庄に向けてラストスパートとなった。
新庄に到着し、程なくして列車は折り返しに備えて車庫の方へ引き上げていった。1年ぶりの新庄になるのだが、今回は駅近くの食堂でお昼にすることを決めていた。個人的にはB級グルメの域に入ると思うのだが、新庄名物(?)のとりもつラーメンを試そうと考えている。あまり乗換に時間がなかったのでちょっと慌しくなってしまったが、前もって調べていたお店で無事目的を果たすことができた。(余談:キャッチフレーズは「愛をとりもつラーメン」だそうで、、、そういうベタな話、嫌いじゃないです…笑)
致道博物館
新庄から最上川沿い陸羽西線で余目へ抜け、今日は鶴岡へ向かうことにしている。鶴岡へは仕事で何回か来たこともあり、また列車で通過することも多く馴染みのある地名なのだが、考えてみれば観光などしたこともなく、ちょうど今回時間が取れそうだったので、最後に寄っておくことにした。とはいえ日帰りの途中、時間は限られるのでポイントを絞ってまわってみたい。前もって下調べしておいた通り、駅前の観光案内でレンタサイクルできないか聞いてみたところ、ちょうど1台だけ残りがあったので早速借りることにした。まるで自分のために残っていたような感じだったが、その場でポイントをおさらいしペダルを漕ぎ出す。
致道館
歴史ある旧家などに立ち寄って、まずやってきたのはカトリック教会天主堂の美しい姿がとても印象的だった。建物の中も開放されていたので、少しだけ見学しておく。自分はクリスチャンではないのだが、心洗われる思いとはまさにこのことだと思った。続いて、庄内藩校・致道館へ向かう。庄内藩といえば質実剛健というイメージが強いが、こういった施設を見学してみて、なるほどこうやってその士風ができたのか…ととても勉強になった。続いて致道博物館へ足を延ばし、さらに歴史の"お勉強"をすることにした。ここは素人目にも貴重な史料が数多く残されており、とても効率よく見識を深めることができる。教科書的に歴史をなぞるだけではなく、庶民の暮らしや生活文化まで知ることができるので、ぜひここはおすすめしたい場所だと思った。もっと時間を取りたかったのはやまやまだったが、帰りのこともあるので適当なところで引き上げることにした。最後に大宝館に寄って荘内神社へ向かう。お参りを済ませ、冷たいものが振る舞われていたので、少しだけ休憩する。ちょっとボーッとしてたところ、思わず地元の人に声を掛けられ、数分だけだったが会話を交わすことができた。藤沢周平の故郷=鶴岡、小説の中に出てくる海坂藩で描きたかったことがまた少し分かったような気がした。武士の一分、たそがれ清兵衛、蝉しぐれなど個人的にも好きな映画だったこともあり、わずかばかりではあったが、今日こうして鶴岡へ寄れたのは本当によかった。
鶴岡カトリック教会
時間ぎりぎりまで使ってレンタサイクルを返却、効率よくまわれたようだった。秋の声が聞こえてきているとはいえ毎度ながら好天に恵まれ気温も高く、心地よい疲労感が残っていた。あとは東京へ帰るのみである。きらきら、わずかばかりではあったが、今日こうして鶴岡へ寄れたのは本当によかった。空港行きのバスを待っているときらきらうえつが出て行くのが見えた。あちらから新幹線を乗り継いでも十分帰れるようだが、今日は空路と決めている。そうこうして待っていると普通の路線バスが空港行きを示してやって来た。乗ってる人数も所要時間もそこそこだなので、まぁこれで十分である。と、ここまで順調にやってきたが、バスの運転手さんから不安をかき立てるような案内が入った。
荘内神社
前にもあったかもしれないが、ANAのシステムが不調をきたし、今日一日全国的に混乱していたとのこと。欠航便も多く出ており、ダイヤも軒並み乱れているようである。あちゃー!と思ったところで、でもそれはどうしようのないので、しばらく様子をうかがうことにする。しかし、どうやら予約してあった東京便は折り返しの機材が到着すれば問題なく出発するようである。まぁ多少の遅れなら普段でもあることなので、そこは多めに見ることにしよう。庄内空港といえば、去年空港巡りの締めくくりとしてやってきたばかりだが、ちょう1年後にこんな形で再訪するとは思いもよらなかった。あのときは確か小型の機材ばかりだったはずだが、中型機に置き換えられている。今日も東京便は満席に近いようで、とりあえず好調なことはいいことだ。さて、今日の締めくくりだが、ちょっと奮発してスーパーシートプレミアムを予約してあった。もちろんお値段は幾分張るものの、ゆったりとした座席だけでなく食事やアルコールも供され、国際線のアッパークラスに近いサービスを享受することができる。気がつけば徹夜明けでありながら動き回ってしまったが、最後にこんな締めも悪くはないと自分にご褒美を贈る形になった。結局、羽田に到着したのは定刻より30分以上遅れてしまったが、飛んでた時間は予定通りだった。もっと上空で待機してくれててもよかったのに…こういうときは都合のいい解釈をしたくなるものである。次回も上級クラスにするか、、、お財布と相談かな?
ANA・NH900便・羽田行き