■旅日誌
[2005/4] 山緑濃く、遠く海眺むる
(記:2005/5/15 改:2015/11/21)
写真をみる
今年のGWは休めないものと覚悟してたところ、年末年始も働きづめだったのでとりあえず休め…ということになりました。急に休みが決まったこともあり、計画を練る時間がなかったためあまり納得のいくものではありませんでしたが、前回のJR完乗に引続き名古屋をやっつけて私鉄完乗を目指すことにしました。ですが、実際にはその前後の立ち寄った大分と神戸がメインだったような気がします。
※下線部をクリックすると写真が表示されます
 1日目
ルート概略
【寄ったところ、乗ったもの】※詳細はこちら
北九州空港、ゆふいんの森、由布院
急遽決まった休みだったので手持ちのネタを組合せてスケジュールを組んでみた。ところが、バックボーンとしていた日本海1号の指定がどうしても取れない。仕方なく次点レベル(?)のネタをかき集め、まったく違うルートを考えてみる。運良くこちらは第一関門であるゆふいんの森の座席が取れてしまったので、こっちの案でお出掛けすることに決めた。だが、あまりにも準備がバタバタだったせいか、直前も直前、行きの飛行機の購入手続きを怠ったため予約が解消されてしまったことに前日の晩に気がついた。その日も休出していたため、厳密にいうと当日の未明に気がつき急いで予約を入れる。これまた運良く残席1のところ滑り込みセーフとなった。(冷汗)
北九州空港
とんだハプニングを乗り切り無事北九州空港へ飛んできた。北九州空港は周防灘を越えた三方を山に囲まれた狭い土地にある。東側からのアプローチではあるが、右手に空港を見ながら一旦市街地の上を180度旋回して着陸となった。北九州空港も海上空港への移転が決まっており、手前で建設途中の新空港を上空から見ることができた。よってこの貧素な空港もあとわずかの使用である。にわか仕込みの知識だが、定期便の運行がなくなったあと滑走路は短いまま暫定使用が決まったという。もっとも周囲は住宅地として開発が進んでいるため、滑走路を延ばすこともできず結局小型のジェット機しか乗降りができない。しかし、その気になれば福岡に出られるというこの地にも贅沢な空港が必要なのかという点にはやや疑問が残る。(後日談:新しい北九州空港の様子についてはこちらの旅日誌をご覧ください。)それはそうとして、なかなか不思議な雰囲気の漂う空港であった。恐らくバスで小倉へ抜けるのが無難かと思うが、徒歩で近くのへ向かうことにする。住宅街を抜け10分も歩けば日豊線下曽根駅へと出てくることができる。普通列車しか停まらないローカルなではあるが、1時間に3本はやってくるようなのでしばらく待つことにした。飛行機の時間とゆふいんの森の時間がいまひとつ合わなかったこともあり時間には余裕がある。なので特急や新幹線は利用せずに小倉からは鹿児島線の快速で博多へ向かうことにした。準快速という肩書きは聞きなれないため妙な感覚を覚える。途中の八幡でついこの間やってきた帆柱ケーブルが見えるのだが、乗りつぶしも終盤となるといかにもといった感じでこういう効率の悪いことが起きてくる。
日豊線 博多駅
遅めの昼めしを食らうなどして、博多駅構内でしばらくボーっとしながら時間を過ごす。それにししても、カラフルな特急が行ったり来たりしているものだ。そんな慌しい合間をぬってゆふいんの森がやってきた。上りからの折り返しなので整備やら何やらでかなり慌しく、ドアが開いているのはわずか2、3分のことだった。落ち着かないまますぐに発車となるのだが、ダイヤに余裕はなくまったく頭を抑え込まれてしまっており、何回も信号停車を繰り返すことになった。筑後川を渡り久留米から久大線に入ったところでようやくタガが外れ、快調な列車旅となる。残念ながら空模様はあまりよくはない。耳納連山を過ぎると車窓は山間の渓谷へと変わり、夜明駅で日田彦山線と合流する。この景色はお気に入りの場所のひとつでもある。いつか機会があれば、ゆっくり来てみたいものだ。言うまでもなくゆふいんの森はJR九州の誇る観光列車の象徴的存在で人気が高い。今日もしっかりと満席である。木目調の明るいアコモは九州らしい特徴と言っていい。車掌の他、客室乗務員も乗車しておりビュッフェやワゴンサービスを担当しており、車内放送による観光案内や乗客への対応など、かなり忙しいく見える。このゆふいんの森も2代目であり、途中先代と対面する場面もある。日田、天瀬、豊後森と著名な温泉地を列車は進み、この列車の終点由布院へと到着した。最後にもう一度雄姿を収めようと列車の先頭に向かうといつものように"シャッターお願いします"攻撃に遭う。(笑)
ゆふいんの森 ゆふいんの森
湯布院で一泊することも考えたが、今日は別府へ向かうことにする。次のバスの時間に合わせるようにして、ゆっくり目に街中をきょろきょろしながら歩いていく。山間の小さな街ではあるが、一大観光地だけあって結構な賑わいだった。事前に路線バスのことが調べ切れていなかったが、由布院駅とは少し離れた場所にある湯布院営業所でバスを待つことにした。路線バスとは関係のない観光バスや近くの宿の送迎の車など出入りが多く、目的のバスがどれだかよく分からないまま多少不安にもなったが"九州横断"とロゴの入ったバスがやって来た。運転手には事前に予約してないことを申し告げとりあえず乗り込む。やがてバスは由布の街並みを下に見ながら高原道路へと差し掛かる。由布岳のすぐ近くに見ながら別府方面へと抜けるのは九重山系を縦貫する道路のハイライトでもある。あと1時間程度余裕があれば途中ロープウェイに寄ってもよかったかもしれない。ところどころ湯煙が上がる中坂道を下り、最後に別府湾沿いにしばらく南下した後で別府の中心街へと到着した。つい先日来たばかりなので、見慣れた風景が広がる。まとめて休みを取って効率を考えるのがいいのか、何回も小分けにするのがいいのかは自分でもよく分からないが、まぁそんなことを考えても仕方ない。(後日談:その後、湯布院を再訪する機会がありましたが、旅日誌はこちらをご覧ください。)
九重山系 由布岳
 2日目
ルート概略
【寄ったところ、乗ったもの】※詳細はこちら
宇佐、国東、別府ワンダーラクテンチ、大分
だから何だというわけではないが、さすがに別府は日本屈指の温泉地である。昨晩もしっかりと温泉の恩恵に授かり、今日もここら近辺をウロウロすることにしている。残念なことに天気予報通り今日は朝から強い雨が降っている。別府駅に立つとちょうど九州横断特急が発車するところだった。ちょうど一ヶ月前にタイムスリップしたようだが前回これに乗ったのはもちろん記憶に新しい。しばらくしてやってきたソニックで北へ向かう。白いソニックといいながら、KAMOMEのロゴが入っているのはご愛嬌といったところか、運用はフレキシブルに行われているらしい。革張りのシート席に着き、外の雨模様の景色を眺めながら振り子の揺れにしばらく身を任せる。雨などもろともせずにガンガン突っ走っていく。
宇佐駅
まず最初の目的駅である宇佐駅で降りたのはわずか2、3名であった。改札を出てみたものの相変わらず強い雨は勢いが衰える気配がない。タクシーが並ぶロータリーの向こうに見える通りへ出てみても、びしょ濡れになっただけでどうしようもないので駅の待合室で待つことにした。豊後高田へ行くバスは駅前から出ていることになっているがバス停が分からない。しばらくすると宇佐どまりのバスがやって来た。客を降ろして向かった先に乗り場らしきものがあったので移動する。観光案内のような建物は待合室になっているのだが、去年閉鎖された…とつれない張り紙があるだけで中へは入れない。やがて次の列車でやってきた一団もこちらへ向かって来て、建物の前のわずかな空間に並んで雨をしのぐ。先程のバスの運転手も降りてきて話をしたが、この建物はバス会社のものではなく市のもので、このまま放置されているという。次の豊後高田行きの便はこの運転手が乗ってきたバスではないのでもうしばらく待つことになった。
国東バスターミナル
宇佐駅から豊後高田までは数キロ離れており、時間にして10分程度かかる。全国的にも有名な宇佐神宮とはまた逆の方角にある。先程の一団も高田行きのバスに乗車してその後も運転手と話をしていたが、もっと観光に力をいれないの?とか、それにしても寂しい場所だね…などとあまり景気のいい話題は出てこなかった。豊後高田でバスをおりると、どことなく駅舎のような雰囲気がする。後で知ったが宇佐参宮線の始発駅だった場所で、櫛形の構造は在りし日の賑わいを想像するには容易なことである。その駅前も繁華街のようなのだが、雨の日曜の朝ということもありひっそりとしていた。宇佐八幡や国東観光への表玄関なはずなのにどことなく寂しいものだった。(後日談:その後、宇佐を再訪する機会がありました。そのときの旅日誌はこちらをご覧ください。)
別府ワンダーラクテンチ
今日は特に観光地めぐりをするわけでもなく何となく路線バスを乗り継いで国東半島の外周を一周してみることを考えている。(余談:白状すると、某バラエティー番組の対決企画で見たのがきっかけだったりします。)宇佐からここへやってきたバスはいつの間にか方向幕が伊美と変えられ、結局同じバスに乗り込む。やがて海岸線へと出てきたが視界はあまりよくない。空は雲が重く立ち込め、海の色も灰色がかっている。反対の内陸側に目を向けても遠くの景色はよく分からない。ちょっと残念である。自分のほかにこのローカルバスに乗り合わせたのは二人で、会話の内容からして竹田津港から徳山へ行くフェリーに乗るらしい。しかしながらこんなところに身を置くのも不思議な感覚を覚えるものである。その後もアップダウンを繰り返し伊美港を経由して伊美のバスターミナルへとやってきた。ターミナルと言ってもお世辞にも褒められたものではなく、雨風が凌げればといった程度のお粗末なものである。相変わらず雨は降り続いているので建物の外に出る気にならなかったが周囲に人の気配がまったくしない。そろそろ時間かな?と思って外に目をやるといつの間にか次に乗り継ぐバスが来ていた。待合室にいても侘しいばかりなので、先程と色の違う一回り大きめのバスに乗り込むことにした。
別府ワンダーラクテンチ
どうやら雨は峠を越えたようだった。降ったり止んだりを繰り返しながら国東市街の中心部らしき場所へとやってきた。国道から少し入ったところにバスのターミナルはあり、周囲には小さな商店が並んでいる。一時期弱く感じられた雨だったが再び強くなってしまい、あたりの様子をうかがいに歩き回るのにもちょっと躊躇してしまう。立派なターミナルの中でしばらくボーっとしながら時間を過ごす。ちょうど正午ということで条件反射的にお昼ご飯のことを考えてしまうが、何も準備はしておらず多少後悔する。天気のせいで身動きも取りづらく仕方ないのでしばらく我慢することにした。国東半島をバスで一周しようとすること自体無謀なくらい本数が少ないのだが、日曜はさらに本数が少なく、ようやくいま回っているスジを見つけていた。ここ国東からなら杵築、大分方面へはそれなりに出ているようなのだが、結局自分以外で発車を待つ客の姿はなかった。そうこうしながらも途中で数人拾って先へと進み、大分空港へと出てきた。空港からは高速経由のバスで別府、大分市街へ向かうともっと早く着くことができるのだが、ここまで来たのでしばらくこのローカルバスのお世話になることにしよう。ちょう空港の前を通ると、ホーバーが到着するところで、轟音を立てながら横滑りのような珍しい動きをしていた。しばらくして空港からちょっと入ったところには工業団地のような感じでC社など著名な会社が立並んでいた。
別府ワンダーラクテンチ
空港から先は別府湾からやや離れ、杵築を過ぎた先で日豊線に沿った感じで行くことになる。やがて九州横断道路と合流し別府観光港を経由して北浜のバスセンターへと到着する。一旦ここでバスを降りてラクテンチへ向かうことを考える。すっかり雨も上がり歩いて行けない距離でもないが、とりあえず路線バスで別府の市街を抜けていく。国道10号を右折し日豊線のガードをくぐると先の方角にラクテンチ遊園地が見えてきた。何も遊園地が目的ではないが、ここのケーブルカーは敷地内にあるため入場料を払って乗車することになる。バス停を下りてちょっと上の方に目をやると、短い距離ではあるがケーブルカーの線路が二重構造の観覧車のある建物へと通じていた。詳しい話しは知らないが、廃園まで追い込まれたところ辛うじて救いの手があって今日こうやって営業をやっていると聞いている。確かに客の数は少なさそうだが、実は歴史のある由緒正しい遊園地で別府のランドマークと言える。姿を消すようなことにならなくてよかったと言われる場所でもある。(追記:その後も営業休止の危機は払拭できず、苦労は続いているようです。)
ラクテンチケーブル
ここのケーブルカー遊園地のアトラクションのようだがそうではない。意識的にだろうか、こんな看板もしっかりと目立ったところに掲げられており、乗りつぶしのためにやってくる人も少なくないとか。結果的には自分もその部類になってしまったが、まぁいつものようにあまり気にせず往復することにする。次の便まで10分ほど待って黄色い車両に乗り込んだ。距離にしてそれほどはないのだが、実は日本で一番勾配のきついケーブルカーである。上へ上へと登るってくると徐々に別府湾が見渡せ、先程バスに乗ってここまでやってきた道路が一直線に海に向かって伸びているのが見て取れた。ここもなかなかいい眺めである。3分ほどしてラクテンチ上駅でケーブルを降りる。背後には山々が迫っており、とても狭い土地にぎゅっとアトラクションが配置されているようだった。ケーブル駅の真上には例の二重観覧車があり、そのすぐ近くではあひるレースが行われていた。どうもこれもここの名物らしい。見方によっては動物虐待ギリギリのようにも思えるが、アトラクション的にはまぁそこそこ面白いのかもしれない。敷地内を少し奥へ行ってみるが、特に乗り物に乗りたいわけでもないので、何の気なしに歩いてみることにした。そういえばお昼を食べ損ねていたので休憩がてら何か食べておくことにしよう。
ラクテンチケーブル
斜面からは温泉の湯煙も見られ、敷地内にも温泉施設がある。乗り物同様、温泉に浸かるのも目的ではないので別に立ち寄る気はないのだが、景色が楽しめそうだったので最後に大きな吊橋を渡っておくことにした。一応、"通行料"として100円取られることになっているが、ぽつりぽつりとここを渡る人はいるみたいだった。確かに遠くの眺めは抜群であるが、遠めに見るより足元がふらつく感じがして「立ち止まらないでください」と書かれた看板もうなづける。結局足元が落ち着かないため、ゆっくりと眺めに見入るようなことはできなかったが、まぁそれなりに景色を楽しむことはできた。相変わらずの曇天ではあるが、朝方のような激しい雨でなくてとりあえずよかったと思う。ケーブル駅に戻り、そんな感じでラクテンチを後にする。今度は赤い色の車両で勾配を下りていくことになった。
別府市街と別府湾
これで目的は果たせたので別府を後にするだけなのだが、まだ少し時間があるので帰りはバスは使わずに街中を歩いてみることにした。日曜の午後、静かなの住宅地の中ゆっくりと進んでいく。振り返れば山々の緑がとても印象的である。やがて大きな敷地へとたどり着つくと、そこは別府公園だった。少し中に入って散策してみる。竹林や手入れの行き届いた鮮やかな花々など目を楽しませてくれる。とても贅沢な場所だと素直に思った。雨上がりにしてはあまり湿度は感じられずとても清々しい。どれくらいそこにいただろうか、久しぶりに何も考えずにボーっとしてしまった。最後に正面から振り返り、公園を後にする。
別府公園
特に時間に縛られているわけではなかったので少し距離はあるが折角なので別府タワーを目標に海岸沿いまで行ってみることにした。海沿い一帯はメジャーな温泉どこだけあって立派なホテルが立ち並んでいる。大きな建物の合間をぬって海岸まで出てみると遠くには大きな客船が悠々と出て行くところだった。再び何も考えずにボーっとする時間を過ごし、切りがないので適当なところで我に返り(笑)別府駅へ戻る。普段の生活からは想像もつかないような時間の過ごし方ができたなぁ~と自己満足に浸り別府を後にする。今日は大分に投宿する予定なので、日豊線大分駅へ向かうことにした。車窓に広がる別府湾の眺めも山並みの景色も、こうして見ているだけで何だか名残惜しい気分になってきた。(後日談:別府大分に再訪する機会がありました。そのときの旅日誌はこちらをご覧ください。)
大分駅
 3日目
ルート概略
【寄ったところ、乗ったもの】※詳細はこちら
大分ホーバーフェリー、セントレア、リニモ、新神戸
大分を後にして今日は名古屋で乗りつぶしを行っていく。この先数日は全国的に天気の心配は必要ないらしい。昨日しばらくウロウロした大分市街を抜け大分駅前まで出てきた。これから空路名古屋を目指すのだが、大分空港へのアクセスには直行バスの他に珍しい乗り物があるのでそいつを利用することにする。まずはバスでホーバーターミナルへ移動する。既に次の便を待つ人で待合室はいっぱいだった。昨日もバスの中からちらっと見えたが、日本で唯一ホーバークラフトが就航しているのはここ大分だということを直前に知った。値は張るが珍しい乗り物となれば乗っておかないわけにはいかない。(笑) 乗船口の向こうに見えるフェリーは海に浮かんでいるわけではなく、コンクリートの敷地に鎮座している。轟音とともにふわっと上がったと思ったら、搭乗口の脇へと横付けされて一旦エンジンが切られた。やがて順番に乗船し出航を待つ。乗り込んだところでエンジンが掛けられスッと上がると滑り出すように船は動き始め、やや斜めに下りながら着水しそのまま加速していく。船内は会話ができないくらいの騒音で、ひっきりなしに繰り返す上下動も決して快適というものではないが、時速80キロで疾走するスピード感もまた不思議な感覚を覚える。後方の別府の山並みと右側の工業地帯は見る見る離れていき、左手から国東半島の山々が見えてきた。ホーバーフェリーはただまっすぐ進んでいるわけでもないようで、全速を保ったまま時折船体の向きを傾かせ進路を変えていく。マニアックな人に言わせるとこの操縦テクニックもまた見逃せないらしい。30分弱で大分空港へ到着するのだが、正直なところこの状態で我慢できる時間もこんなものだと思った。大分空港側の乗降口は海から多少離れているので、しばらく陸上の誘導路を進むことになる。昨日もバスから見えたがS字クランクを実に器用に船体を操作しながら進んでいく。どちらが前でどちらが後ろなのか、一体どちらに進もうとしているのかなど、キョロキョロしてしまうが、船内放送でも構造上横滑りする動きなので心配するなと案内されていた。(後日談:そのホーバーフェリーですが残念ながら、廃止されてしまいました。)
大分ホーバーフェリーターミナル 大分ホーバーフェリー
大分空港からはずんぐりとしたANK機で中部国際空港へと向かう。JALグループもANAグループも最近は地方路線でも便名をJALまたはANAで統一し、実際の運行はグループ会社の機材と乗務員を使うことが多いようだ。セントレアもひところ物見の人出で騒がれていたが、そろそろ落ち着いてきた頃だと思う。今回もちょうどいいタイミングで大分-名古屋の便があったので11時過ぎにセントレアに降り立つスケジュールを組んでいた。ほとんど素通りではあったが、それとなくその辺を見て名鉄の乗り場へと向かう。全体的な規模は小さいがどことなく関空に近いような雰囲気がした。ではミューチケットを買い求める人で列ができている。意外にもホームは2面しかなく、タイミングよくミュースカイと新しい特急のご対面となった。白地に青のカラーリングは、いい意味で名鉄らしくなく新鮮味を感じる。空港連絡橋を経由してあたらしくなった常滑駅を通過し、これでセントレア開港に伴う常滑線の伸長区間の乗りつぶしが終わったことになる。空港から30分足らずで名古屋の中心部へ出ることができるので、セントレアのアクセス性もまぁまぁといったところだろうか。今日は名古屋まで行かずに手前の金山駅で降りて地下鉄を乗り継いでいくことにする。
名鉄中部国際空港駅
途中寄り道などせずに栄を経由して藤が丘へとやってきた。地下鉄でありながら東山線は終点近くで高架区間になる。そういえば、常滑線もこの東山線も何年か前のGWに、遅い時間に無理して乗りつぶしをしていたことを思い出した。ほとんどの人がこれから万博へ向かう様子なのだが、ひところ騒がれたように人で溢れ返ってどうしようもないという程でもない。それもそうか、カレンダーを見ると一応今日は連休の谷間の平日ということになっている。を出ると整理に当たる人が過剰なくらい配置されていて、物々しい雰囲気さえするほどだった。さて、次に控えているリニモに早速乗ることにしよう。開業当初は1時間待ちは当たり前とまで言っていたが、まったく待つ必要はないようである。有人の切符売り場はロープで仕切られ、これでもかと言わんばかりに意気込んでいるようだった。勝手に思い込んでいたようで、藤が丘駅は高架ではなく地下駅だった。エスカレータを何回も乗り継いで下ってきたので相当深いところのようだ。ホームに来ても乗り切れないほど混雑しているといったようなことはまったくなく、目の前のとまっている車両に乗り込み空いてる座席に着く。やはり新車は気持ちいいいものだ。浮上式のリニアモーターカーだということは分かっているのだが、意識していても従来の新交通システムのたぐいとの違いは分からなかった。強いて言えば加速減速時の衝撃が極端に少なく乗り心地は抜群にいいようだ。やがて地上に出てきて快調に丘陵地帯を進んでいく。車窓の丘陵地帯には新興住宅街が続き、そのうち万博パビリオンの施設が見えてきた。ところどころ点在する駐車場はピストン輸送のためのバスでびっしりうまっていた。正直なところ万博にはあまり興味はなく、人も多そうだったので最初から素通を決め込んでいる。そんな具合で終点八草まで乗り通してリニモも完乗となった。
リニモ リニモ
乗りつぶしという"任務"(=JR+私鉄)は意外とそっけなく果たしてしまった。人気のない八草駅周辺をウロウロしてても仕方ないので次の目的地へ向かうことにする。リニモを使って同じように戻ってもいいのだが、やはり別ルートで行くことを考えてしまう。万博期間中はJR中央線から愛知環状鉄道八草まで直通するエキスポライナーが1時間に3本も設定されているらしい。ちょうど目の前を出発してしまったので次を待ってもよかったのだが、所詮ただの通勤型電車なので次の高蔵寺行きの愛知環状鉄道の電車で行くことにした。高蔵寺駅で乗り換えるのは去年の10月以来である。中央線の快速に乗り換え名古屋駅へと向かう。
愛知環状鉄道
名古屋の新幹線乗り換え口に来てみると妙に騒がしく感じられた。どうも上りの運転を見合わせているらしい。大事にならなければいいが、下りの列車に乗ることにしているのでそちらの動向が気になる。結局下りは問題なく動いているようだったので、すぐに乗れそうな便に乗り込んだ。今回は名古屋での乗りつぶし=私鉄完乗がメインなはずなのに、名古屋滞在はわずか数時間のことであった。というわけで、下りの新幹線に乗ってやってきた場所は、なぜか新神戸だった。新神戸駅の両端はすぐトンネルになっていて、まさに六甲山の麓にひょこり顔を出したような場所である。ホームも対面2面だけで見方によっては熱海駅に似ているかもしれない。ここらで一番の繁華街である三宮からもちょっと距離があり、よそ者の目からは閑静で環境のよさそうな場所に思えていた。ということで、今日はしばらく近くを散策してみることにしよう。
新神戸駅
 4日目
ルート概略
【寄ったところ、乗ったもの】※詳細はこちら
摩耶ケーブル、摩耶ロープウェイ、六甲ケーブル、六甲ロープウェイ、有馬温泉、岡山
当初神戸に来るつもりはなかったが、いろいろ考えて残った選択肢がなぜかここだった。最近の決まり文句になってきているが、ケーブルカーの乗りつぶしのために寄ったといってもいい。それはそうと、こうして神戸のあたりをまわるチャンスも意外と少なかったのでそれもまたいい機会だろう。新神戸近くの宿からまずは市営バスに乗っての移動となる。実は昨日地下鉄の新神戸駅で神戸の1日フリーチケットというのを見つけて購入してあった。果たして2000円という値段が損なのか得なのかはよく分からないが、切符を買う手間や小銭をじゃらじゃらやることを考えるとありがたい。中身を見ると神戸近辺で乗り降り自由なスルッとKANSAIのカードが1200円となっていて、それと近くの施設で現金代わりに使えるクーポン券が1000円分入っている。これはケーブルカーの足代として十分消費するので、差し引き1000円のフリーチケットと見なせる。随分と破格値のように思えてきた。
摩耶ケーブル
最初の目的地は摩耶ケーブルで9時20分の始発を待つことになる。しばらく時間があるので、の近所を見回してみる。山の手の閑静な住宅街にあり、遠くに目を向けると坂の向こうに神戸の海が見える。昔ある人から聞いたことがあるのだが、神戸の人間は「坂道の上が北」という方向感覚が身に染みついてる、というのも何となくうなずける。始発の前9時ちょうどに関係者を乗せた便が始業点検を兼ねて出ていった。そんな感じで9時20分という中途半端な時間が始発となる。清々しい朝の空気の中、緑色の車体のケーブルカーは斜面を登っていき、5分ほどして虹の駅へと到着した。さらにここからロープウェーに乗って山頂へと上がっていく。始発に連絡する形でこちらも今日最初の便として出発していく。ゆっくりとした速さでゴンドラは登っていくのだが、ケーブルカーと違って眼下を眺めみたときの高さは恐ろしいものさえ感じる。ロープウェーの終着は星の駅と名前がついた小ぎれいな駅で、そこはもう麻耶山の山頂である。掬星台と書かれた看板などもあり、南側の展望台から見える神戸の街並みやその向こうの大阪湾の眺めは抜群である。いまは抜けるような青空で日差しが眩しいが、夜は1000万ドルの夜景と呼ばれる場所なのであろう。景色を見ているだけで何時間でもいられそうな場所であった。
摩耶ロープウェー・星の駅
引続き欲張ってもうひとつのケーブルを目指すことにする。六甲山系の尾根伝いを行く路線バスを利用すると摩耶ビューライン六甲ケーブルとを行き来できる。とりあえず星の駅から六甲ケーブル方面へ行くことにするが、ケーブルの山頂駅に出たところで麓に下りていくことになるのでちょっと都合がよくない。路線バスのうちいくつかは阪急六甲とを結んでいるのでそれで一旦下山することにした。丁字ヶ辻という交差点からくねくね道の長いは下り坂が続く。遠く神戸市街が見渡せてとても景色がよい。ここを行く阪急の路線バスはエンジンブレーキを効かせながらゆっくりと下っていく。途中六甲ケーブルの登山口のすぐ近くを通過し、阪急六甲駅まで出てきた。妙に長い人の列があると思ったら、六甲ケーブルに向かうバスを待つ列のようである。あらまぁ、ちょっとびっくり…。ここから乗るのも厳しいそうなのでこの系統のバスの始発である御影まで行くことにしよう。さらに折角ここまできたので、途中JR六甲道にも寄ってみることにする。手元のフリーチケットも心強い。
麻耶山から神戸市街を望む
何だかんだしているうちにお昼近くになっていた。御影駅で目的のバスに乗って発車を待つ。そういえば、あの震災の後でやってきたときに降り立ったのはこの駅だったっけ…。数分するうちに車内は満員となった。さらにこの状態でJR六甲道駅阪急六甲駅と寄っていく。先程の様子からさほど変わってないので、物凄い人が乗り込んでくる。ほとんどの人が六甲ケーブルを目指しているだろうから、大変なことになりそうだ。先程阪急バスで下ってきた道をほとんどそのまま逆に上がってきて、六甲ケーブルの乗り場へと出てきた。これでは乗り切れないのではないかと一瞬考えてしまったが、六甲ケーブルは2両編成の大きな車両なのでかなりのキャパがあり、あれほど並んでいた人がすべて納まってしまった。とはいうものの、車内は大混雑でまったく身動きが取れない。こうなるとあまり落ち着かないが、いまここで文句を言っても仕方ない。六甲ケーブルは全長2キロ以上あり、こんな長い距離を行くケーブルカーは記憶がない。大抵どこのケーブルカーでもケーブルの太さを紹介しているが、さすがにここのケーブルの直径は40ミリを越えているというから他と規模が違うことがわかる。10分ほど揺られて先程通ったレトロな山頂駅へとやってきた。とりあえず近くの展望台へ出てみてあらためて下の街並みに目を向ける。
六甲ケーブル
去年の12月までここから六甲山頂を経由して有馬方面にロープウェイが出ていたのだが、老朽化と利用客の低迷で一部が運休となってしまった。そこから見る景色は表六甲のハイライトとまで言われていたが、もうこの目で確かめることはできない。替わりの足である山上バスロープウェイ山頂駅へと向かう。満員のケーブルカーで運ばれてきた人たちの多くがそのバスを待つ列に並んでしまったので、1台のバスには乗り切れそうにない。いつもこれくらいの人で賑わっていれば休止になることはなかったのだろう。六甲摩耶鉄道と書かれたバスは小型であっという間に満員となってしまった。列を整理していた人の話によると5台のバスをフル稼働させてピストン輸送しているので、すぐに次がやってくるらしい。と思ったら、3台まとまってやってきてしまった。
六甲ケーブル
六甲有馬ロープウェイは複数の路線から成っていたが、そのうちのひとつがこの間休止になった路線である。六甲山頂駅の廃止路線の駅は休憩所のようなギャラリーとして開放されていた。ここからはいわゆる裏六甲と呼ばれるところを有馬方面へ向けて下りていく。満員のゴンドラに揺られ山々を越えていく。正直言って地理的にどんな場所なのかまったく知識がなかったが、南側ともまた違った印象の景色が広がっていた。新緑のこの時期も素晴らしいが、きっと紅葉の時期もまた違った大パノラマが見られるに違いない。10分ほどして有馬温泉駅へと到着した。の建物は新しく、横には温泉らしい施設もあるようだ。地図を見るとこのは町の外れにあり、歩いて中心部へと向かうことにする。さすがに関西の奥座敷ということだけあって大きなホテルが立並んでいる。駐車場に収まり切らない車で狭い道がよりいっそう混雑していた。路地に面して足湯があったり、古い町並みを模してつくられた通りなどいかにも温泉街といった風情である。川沿いの広い表通りへ出ると車の往来でひどく混雑していた。何分ほど歩いただろうか、神鉄有馬温泉駅はあまり目立たないところにあった。
六甲有馬ロープウェー
途中食事にするつもりだったが、特に目を引くものがなかったので駅前まで来てしまった。折角関西に来たのでうどんと押し寿司でもいただくことにしよう。遅めのお昼を済ませ、神鉄に乗って神戸の中心部へと戻ることにする。ひと区間だけの支線に乗って有馬口で新開地行きの準急に乗換える。とりあえず今回考えてたネタはすべて消化したので、これで帰路につくため新神戸まで戻る。とその前に、ちょっとアレンジを入れて谷川駅で北神急行に乗り換えるのではなく、箕谷まで行って新神戸トンネルを経由するバスに乗ってみることにした。箕谷駅は小さな駅で、狭いスペースにバスのロータリーが押し込められている感じだった。ちょうど神鉄の電車を下りたときにバスが入ってきた。「急64」という系統番号を表示したバスは実はこの路線専用の車両であるということを後で知る。駅前の先にある箕谷のバス停には大きな駐車場が隣接しており、パークアンドライドをやってるということも後で知った。全国的にもこれほど大掛かりにやってるところはないと思う。料金所を通過してすぐにトンネルに入り高速道路なみの道路が延々と7キロほど続いている。六甲の山の中をぶち抜いてこんなものを何本も作ってしまうのだから、人間というのはなんとも勝手な動物だと思う。トンネルなので当たり前だが特に見るものがあるわけでもなく新神戸駅の真下に出てきた。意外にもここでバスを下りたのは自分ひとりだった。
有馬温泉
神戸で思い出したが神戸空港が来年にでも開港するらしい。あれほど建設には大もめだっただけに本当に無事開港できるのだろうか。そんなことも興味はなくはないが、空港へのアクセスのひとつとしてポートライナーが延長されるのできっとその頃には乗りつぶしをしなければならない…なんてそわそわしているに違いない。(笑) (後日談:もちろん開業後のは神戸空港にも来ています。そのときの旅日誌はこちらをご覧ください。)そんな話しはいいとして、今日はなぜか岡山空港へまわることを考えていた。理由は?と聞かれてもいつものように明快な答えは出てこない。東京-岡山間といえば新幹線との競争がちょうど拮抗する路線だとも言える。途中下車扱いにしてあった昨日の乗車券に特急券を買い足して次のレールスターを待つことにする。同じ700系でも他とは違ったアコモは経験済みだが、やっぱり新幹線の移動は快適だなと思う。40分ほどで岡山に到着し、ちょっとだけ在来線のホームをのぞいてから外へ出ることにした。駅前は休日を楽しむ人でとても賑やかだった。駅前から出ている路面電車にわざわざ乗りにきたのはいつのことだったろうか?リムジンバスで岡山空港へと移動する。郊外の道路はところどころ渋滞ができていたが、それなりの距離を走って来たところに空港はあった。
神戸電鉄・有馬温泉駅
予約していた便にはまだ時間があったのでそこらを見ながらしばらく過ごす。Edyで買い物をするとお店の人に不思議がられた。いまだに不思議だと思うんですよ…と言われても返しようがない。おさいふケータイを使うようになってから久しいが、何しろ会社にいるときはほとんどすべての買い物ができてしまうのですっかり手に馴染んでしまっている。使用機材の到着が遅れているとアナウンスがあったが、よく見ると機体にはJTAのロゴが入っていた。後日時刻表を確かめると、沖縄から到着した機材を使ってJAL便として東京へ向かうようになっていた。座席の機内誌もJALの他にJTAのものが準備されており、パイロットも客室アテンダントも沖縄風の苗字の方だった。そのJTAの機内誌に目を通してるうちに、ちょっと違った旅気分になってしまった。天気がよかったので眼下の夜景もきれいに見ることができる。明石大橋、建設中の神戸空港、大阪の繁華街、生駒山などはっきりと分かる。もちろん六甲の山並みも確認することができたが、こんな角度で1000万ドルの夜景を拝むことになるとは思わなかった。普段のストレスからちょっとだけ解放された時間ももう終わろうとしている。やはり旅の終わりは感傷的になってしまうな…。
岡山空港