■旅日誌
[2008/10] 初秋~北海道・SLニセコ
(記:2008/11/8 改:2025/1/1)
(記:2008/11/8 改:2025/1/1)
今回もあまり深いこと考えずにSLニセコ号の予約が取れてしまったので、初秋の北海道を訪ねることにしました。いつものように一泊二日の短期滞在ですが、初日に洞爺湖近くをまわり、翌日はSLの汽車旅となりました。秋の北海道は初めてでしたが、こんなのんびり旅も悪くないです。
※下線部をクリックすると写真が表示されます
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1日目
ついつい常態化してしまっているが、いつものように準備不足で当日の朝を迎えてしまった。今回は本当に一睡もせずに羽田へ向かうことになる。時間の感覚も怪しくなり、まずいなぁ~などと思いつつ、落ち着きを取り戻すべくこれまたいつものようにラウンジでひといきつくことにした。今回も運よくSLニセコの予約が取れてしまったので、それを理由に無理して渡道するような格好になってしまったが、往復の航空券も"青組"の格安チケットが確保できたので結果オーライとする。ただ、出発はもう少し遅くてもよかったかな??などと考えながら時間ギリギリまでラウンジに居座ることにした。こんどの新千歳行きはラウンジ近くのスポットだし、どうせ搭乗口は混雑するだろう…。
何となく久しぶりに4発機=B747に乗ってやろうと考え、予約ついでに2階席を指定しておいた。さすがに新千歳行きのジャンボ機となると搭乗口は長蛇の列となる。ふと窓の外へ目を向けると、何やら派手な塗装の機材が止まっていた。別に狙ったわけではないが、ポケモンジェット(通称:お花ジャンボ)に当たったらしい。今回も不思議な引きを感じつつ機内に乗り込み階段を上ってアッパーデッキへ向かう。実はB747の2階席を利用するのは初めてのことで、やや狭いものの1階席とは違って落ち着きがあるようにも思えた。定刻からやや遅れてプッシュバック、羽田離陸後も特に問題なくベルト着用サインが消えて飲み物サービスが始まった。座席のヘッドカバーがピカチュー柄だったのは気がついていたが、CAさんのエプロンやら紙コップまでポケモンキャラクターが描かれていた。小さい子がいれば喜ぶかもしれない。
北海道上空は雲がかかっており、晴天は期待できそうにない。徐々に地上の様子が見えてきて無事ランディング、2ヶ月ぶりの北海道入りとなった。前回の函館ほどではないが、どうもいまひとつ天気は冴えない。今回はあまりタイトなスケジュールは引いていなかったが、まずはみどりの窓口で必要なチケットを揃えるところから始める。ちょっと解説すると、ANAの旅割利用者向けにちょうど今回まわろうとしてるルートと重なるフリー切符があり、渡りに舟とばかりににそいつを購入することにしていた。値段は5000円、特急も利用できて指定が2回まで使えて3日間有効とかなりお得な切符である。そういえば…と思い、花畑牧場のショップに立ち寄ってみると、生キャラメルを求める人で列ができていた。
快速電車でお隣の南千歳まで移動し、次の特急を待つ。何もない単なる乗換駅だと思っていたら駅に直結する形でショッピングモールができていた。函館行きの特急には途中からの乗車になるのだが、ここで1回目指定の権利を使うことにする。雄大な車窓をバックにお弁当を広げひとまずお昼にする。小さな幸せを感じる時間だろうか。苫小牧、東室蘭と経由してやがて下車駅である伊達紋別に到着、小雨が降ってるホームでスーパー北斗を見送り改札の外へ出る。ここで前もって予約してあった通りにレンタカー屋にTELを入れ送迎の車を待つことにした。5分もしないうちに1台の車がやってきて、まずは営業所まで向かう。最初は洞爺駅からバスで往復することを考えていたのだが、うまいこと乗り継ぎのタイミングが合わないのでレンタカーを探してみたところ、いつもの最廉価クラスよりひとつ上の車種が格安キャンペーンの対象になっており、そいつを利用することにした。営業所で手続きを済ませ早速洞爺湖方面へ向かう。
やがて遠めに昭和新山が見えてきた。すっかり観光地らしく整備され、駐車場に車を止めようとするとすかさず係りの人が寄ってきて駐車料金を請求された。別にそのこと自体をとやかく言う気はないが、施設維持費の意味が含まれていたと解釈すればいいのだろうか。と、ここで、車の外に出ると運悪く雨脚が強くなってきた。目の前には昭和新山が大きく聳え立ち、ところどころ白煙を上げている。うーーん、今は雨に濡れたくないのでとりあえず屋根のあるロープウェー乗り場へと向かうことにしよう。往復チケットを買って(余談:珍しくEdyが使えました!)有珠山の山頂を目指すことにする。しばらくして次のロープウェーの出発時間になったが、雨脚はいっそう強くなり、この状況で山頂見物するのもどうかと思い始めていた。山頂駅では、一応貸し出し用の傘が備えられていたが、不思議と雨の勢いは弱まりさっきよりもずいぶんと明るくなっていた。ちょうどいいタイミングで出くわしたようだった。
目の前には有珠山の山肌が迫り、ところどころ水蒸気が上がっていた。ほとんどの人は真っ先に洞爺湖の方へ向かったようだが、自分は火山火口をまず見に行くことにした。阿蘇山もそうだったが、火口というのは不気味な美しさを呈している。ちょっと吸い込まれそうで怖いくらいだ。続いて洞爺湖が望める方角へと移動する。ぱぁっと視界が開けると、広大な大パノラマが待っていた。洞爺湖はもちろん、昭和新山や噴火湾までが一度に見渡せる。スケールの大きさな風景を目にしていると、ついつい時間が経つのを忘れそうになるので、意を決して下山することにした。
下山してからあらためて昭和新山の様子をみておくことにした。予備知識などあるわけでもなく何となく来てしまったが、もとは何もない畑に突然の噴火で400メートルの溶岩ドームができたこと、地元の郵便局長さんが私財まで投げ打って残した観察記録は世界的にも非常に貴重な資料となったこと、など知らないでここへきてしまったのが恥ずかしいくらいだった。あらためて近寄るとまた違った不気味さを感じる。いやぁ自然の迫力にはまったくもって驚かされるばかりだ。そうこうして昭和新山を後にした。
さらに10分ほど走り洞爺湖沿いの道路へと出てきた。さすが北海道屈指の温泉だけあって、立派なホテルや旅館が立ち並んでいる。個人的にはあまりこういったいかにもというところは好きじゃないので、そのまま素通りすることにした。続いて有珠山噴火跡を見学したのち、金毘羅噴火口へと向かう。ここが入口だろうか?という不安を覚えながらも、車でも大丈夫だという看板を信じて未舗装のダート坂道を登っていく。おお、なるほど、小高い丘になった展望台のその先には噴火口と洞爺湖が見渡せるようになっていた。最後に月浦展望台という場所を示す看板があったので、高台になってる場所まで登り、秋めいてきた洞爺湖を一望して今日の締めとした。
距離的にはあまり走ってなかったが、時間が過ぎるのは思ったより早かった。わずかばかりだが道央道でショートカットするようにして伊達紋別へ戻る。北海道で高速道を利用するというのもある意味贅沢かもしれない。満タン返しするために給油したのはわずか数リッターだったが、レンタカー屋の営業所に到着したときはもう間もなく16時といったところだった。まぁまぁの車だったしキャンペーン価格ということを考えれば"いいお買い物"だったようである。ただし帰り道は送迎してくれないので、とぼとぼと歩いて伊達紋別駅へと向かうことになった。一時期とても心配になった雨もどうにか回避できたし、この上ない快晴とまではいかないもののそこはまぁよしとしよう。伊達紋別駅に到着するとちょうど札幌行きの特急が出ていくところだった。こいつに間に合わせる計算は最初からしてなかったので、予定通り次の普通を乗り継いで東室蘭からすずらんで札幌へ戻ることにしようと思う。室蘭からやってきた元SWA車はガラガラで余裕で座席が確保できた。札幌に到着したときは、すっかり夜になっていた。実はここのところ、無性に味噌ラーメンが食べたくなっていたこともあって、今夜はどこでもいいからまずラーメンにすることを考えていた。そういえばラーメン横丁に行ったことがない、、、と妙なことを思い出し、おのぼりさん状態でそちらに向かうことにした。
2日目
久しぶりにのんびりとした気分で朝を迎えたような気がした。早朝の大通公園を抜けて、札幌駅へ向かう。ホームに上がり今日の主役であるSLニセコ号の入線を待つ。やがて苗穂側からDLに引かれて列車が入ってきた。小樽までの区間はDLが先頭に立ち列車を引っ張っていくとのこと。早速車内に乗り込み、出発を待つことにした。
SLニセコ号は札幌駅を起終点とするため集客力も高く、指定も取りづらいときいていたが、今回は割りとすんなり取れてしまった。ちなみに本日の予約もいっぱいで満席とのことである。列車は札幌駅を出発、その後しばらくは非常にのんびりとしたスピードでの走行となった。銭函を過ぎたあたりから海沿いを走るようになり、時折放送で観光案内が入るようになる。この列車にはカフェカーも連結されており、またコスチュームを着た車内販売員もアテンドしたりと、イベント色が強いのも特徴である。
小樽駅では機関車の付替え作業もかねて長時間停車する。その間、先頭の機関車では写真撮影会となる。小樽といえば言うまでもなく、北海道を代表する観光地であり、ここ小樽駅も観光施設のような雰囲気が漂っている。札幌-小樽間は列車の本数も多く、十分に幹線路線といえるが、小樽を先にこの先はすっかりローカル線の雰囲気となる。いわゆる"山線"は北海道でも寂しいところを行く路線で、列車の本数も極端に減ってしまう。初めてやって来たときも、この先でとても混雑したいたことを記憶している。しかし、それだからこそ沿線の景色は素晴らしく、特に羊蹄山の雄大な姿はまた格別である。
さて、ここからSLニセコ号を引く主役が入れ替わりC11 207号機が先頭に立つ。かつてはC62が引いてた時代もあったが、いま思えばそんな姿も見てみたかったものである。やはりC11単独では山線の勾配はきつく、補機についたDEの後ろ盾は不可欠のようである。時折、ホイッスルを掛け合って、コンビネーションを確かめ合っていた。余市を過ぎたあたりから、より一層山深くなり車窓の紅葉も見頃を迎えていた。列車は終始のんびり走っていたものの、時間が過ぎ去るのは早いものである。倶知安へ到着すると多くの人が一斉に下車していき、車内の乗客は一斉に置換わってしまった。ニセコを過ぎると、右手には羊蹄山の姿を目にすることになる。今日は天気もよく、その優美な稜線もより美しく見えたように思う。今回もここに来れて本当によかったと感じるひとときだった。(後日談:C11 207号機は引退後、東武鉄道のSL大樹として復活することになりました。SL大樹に乗車したときの旅日誌はこちらをご覧ください。)
SLニセコ号は終点の蘭越に到着、あまり停車時間はなくそのまま倶知安へ向けて引き返していく。水や石炭の補給などのメンテや機関車の機回しは倶知安で行われるため、実質の折り返しは倶知安といえるようだ。スケジュール的にはここで折り返しても先へ進んでも別に大差はなかったのだが、とりあえず今日は先へ進むことにしていた。後続の普通列車に乗り継ぎ、再び羊蹄山の姿を眺めながら先へ進むことになった。列車は携帯のアンテナも立たないような原野を走り抜け終点の長万部へ到着した。
長万部では乗り継ぎよく5分で次の札幌方面の特急へ接続している。遠くには既にその列車のライトが見えていた。2回目の指定席の権利はここで行使する。噴火湾を右手に見ながらしばらく進むと、昨日通ってきた有珠山が見えてくる。伊達紋別からは昨日とまったく同じルートなのであまり面白みはないが、そろそろ帰らないといけないという寂寥感のようなものを覚え始める。やっぱり、一泊二日じゃ短いなぁ~~(苦笑)南千歳でスーパー北斗を見送る。あたりはもうすっかり暗くなっていた。まぁ、どうでもいいことだが、夕張線からの普通列車で千歳駅を往復してから、新千歳空港へ向かうことにした。
まだちょっと早かったかもしれなかったが、あとは空港で時間を過ごすことにした。何となく食事をするという気分でもなかったので、まずはラウンジにでもお茶しに行くか…。ひと休みしたあと、特にお目当てのものがあるわけでもないのだが、北海道土産などを見てまわる。帰りのことはあまり意識していなかったが、結果的に行きと同じ四発機になってしまい、座席の指定も随分と埋まっていたので、これまた行きと同様アッパーデッキとなった。ほんの思いつきでの北海道だったのであまり多くはまわれなかったが、たまには生き抜きでもしないと…。明日からはまたいつもの日々が待っているのかと思うとまた落ち込みそうになるので、そのことは考えないようにして帰りの便に乗り込んだ。(後日談:退役間際のANAのジャンボに乗って新千歳に来たときの旅日誌はこちらをご覧ください。)