■旅日誌
[2009/2] 春さきどり
(記:2009/2/28 改:2020/9/12)
(記:2009/2/28 改:2020/9/12)
最近恒例になったようですが、この時期千葉にSLが走るということでちょっとだけ見に行ってきました。ちょうど春一番に見舞われましたが、まさに春をさきどりといった陽気のに誘われ多くの人が見学に来ていました。さらに翌日は、あらためて銚子まで遠征しています。
※下線部をクリックすると写真が表示されます
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1日目
土日も仕事をする予定だったが、直前になってキャンセルとなり、どこでもいいから何かないか探していたところ、千葉でSL走ることに気がつき、急遽遠征することにした。毎年この時期にSLが走らせているようだが、比較的近い場所だったので行ってみることにした。急な思い付きだったので、指定を取って列車に乗ろうとは考えなかったが、このSLを追いかけるようにして臨時列車も設定されていたので、そちらを利用してみることにした。ところが、前日から天気は荒れ気味で、強風のため京葉線内房線に遅れが出ていた。なので列車が運転されるのか危ぶまれたが、風は止み天気は急速に回復、この日の気温は2月とは思えないくらいまで上がったとのことだった。
それともうひとつ、今回のイベントで予定されていたD51 498は、去年トラブルを起こしたまま復活のメドが立っておらず、運転が中止されるのではないかと心配されていたが、急遽別のSLがピンチヒッターとして駆けつけることが決まり、そっちの事情からも今回はぜひ見ておきたいと考えていた。(後日談:そのD51 498号機ですが、その後、無事修復を終え運用に復帰したとのことです。大事に至らずよかった…。)代役を買って出たのは、普段ばんえつ物語号として新潟で活躍しているC57、「貴婦人」というニックネームが付いた機関車で、その名の通り気品のある姿はとても人気がある。C57が千葉県を走るというのも、何十年ぶりとのことで、注目を浴びているようだった。今回、列車が運転されるのは、京葉線の千葉みなとから内房線の木更津までで、SL春さきどり号という名前が付けられていた。都会からそう離れていなので大変な人出が予想されたが、それは覚悟の上と割り切っておくことにしよう。
今回のイベントの助太刀として、京葉線に臨時列車が設定されていた。朝、東京駅を出発して、いったん外房線の誉田に行ったあと再び千葉みなとに戻ってきてSLを追いかけて、帰りにまた京葉線で東京駅へ向かうというダイヤが組まれている。この列車には特急列車の車両が快速として開放されいたので、ありがたく利用させていただくことにした。ということで、早速東京駅へ向かうことにした。列車が出発するのは京葉線の地下ホームなので、電車の出入りはかなり頻繁にあった。その合間を縫ってやってきたのが、臨時快速・春さきどり号、SLと同じ名前が付けられていた。やってきたのは勝田所属のイルカのイラストが入った車両で、第一線を退いたとはいえ一応特急用の車両である。こいつには確かぶらり鎌倉号という列車で一度乗ったことがあるが、今日、こんな形で開放されのはちょっとありがたい。普段は団体用や臨時列車に使われるようだが、とりあえず遠慮なく利用させてもらうことにした。
臨時列車は東京駅を出発したと、ややゆっくりとしたペースで走っていた。途中、運転停車の状態で特急列車に追い抜かれるなど、ぴっちり引かれたダイヤの中に割り込むのだからそれは無理もない。車内はほどほどに席が埋まっており、さほど長い時間ではなかったが、しばし快適な時間を過ごすことができた。さて、千葉みなとへ到着すると、既にSLはホームに入線しており、大勢の人で大パニック状態だった。この駅と通っていく電車はすぐに止まれるくらいのスピードを落とし徐行運転をしていた。撮影したりする時間を出来るだけとろうという配慮からだと思うが、列車近くは身動き取れないほどだったので、とりあえず線路を挟んで向こう側のホームへ行ってみることにした。駅構内ではグッズの販売なども行われており、あっちもこっちも押し合いえ圧し合いの凄い状態になっていた。とりあえず上りホームに出てきたが、こちらも人、人、人で大変なことになっている。とりあえず、写真だけでもと思ってみたが、これは長居できそうにない。警備の人も必死になってロープで"防戦"したり、ラッシュを押さえ込んだりしていたが、仕事とはいえご苦労なことで…。
いよいよ列車が出発となると周囲は黒煙がモクモクと立ち込め、風下になった人は"直撃"をくらったようだった。出発時の長い汽笛が周囲の高層マンションにこだまし響き渡る。こちら側から見てすぐ後ろをモノレールが走っているというのも、妙な取り合わせで面白い。ここでは列車の後姿を見届けるのが精一杯だったが、大都会とSLというミスマッチな光景は、見れて得したような気分だった。SLが去った直後には、同じホームに先程の臨時快速が戻ってくるので、もういちどそいつに乗って先回りしてみよう。再び大勢の人を乗せて千葉みなとをすぐに発車し、蘇我でSLを追い抜く形になった。とりあえずもうしばらく先へ行ってみよう。内房線に入ったあとも、沿線には絶え間なく人の姿があり、これほどまでギャラリーが立っていた…というのは過去に記憶がない。いやぁ、なんかすごいことになってるな…。何となくここかな…と思って姉ヶ崎で列車を降りることにした。
ここもホームの隅っこは多くの人で溢れかえっていたので、上りホームの少し平和そうなところへ移動することにした。しばらくしてそろそろがやってきそうな気配になったところで突然、列車が停止したとの知らせが入る。またやったか?確か前にも千葉は"やらかしたこと"があるけど…。どうやら手前の踏み切りに人が入ったらしい。最低限のマナーすら守れないやつの気が知れないが、結局20分以上待たされることになってしまった。その影響で上りの内房線にも遅れが出てしまったようである。汽笛を響かせようやく列車が入ってきた。姉ヶ崎駅でも少し停車時間があるので、多くのギャラリー押しかけていたが、ホームだけでなく駅の敷地の外にも人がいたのは少し驚いた。さて、今日はこのくらいにしておくか。少し後味悪いまま引き上げることになってしまった。
2日目
今日はあらためて新宿から出発することにしている。行き先も銚子と決めてある。冬のこの時期なのでピーク期のような人出はないと思う。とりあえず往路はすいごうという列車名が付けられた臨時列車を利用することにしている。運よく指定も確保できたので、のんびり行こうと考えていた。この列車に使われる車両はニューなのはなという愛称がついており、普段はお座敷列車として団体用に使われることが多い。今日も一部の編成はお座敷のままグリーン車の扱いになっていたが、ボックス席にもすることができるという少々トリッキーな車両でもある。そちらは普通車扱いなので、座席指定分だけを追加すいればよい。この編成もかつて特急列車として走っていたものだが、第一線を退いて内装はガラッと変えられイベント列車として活躍しているようである。前にも同じような列車に乗ったことがあったが、こういった機会に珍しい車両に乗るのも悪くはない。背もたれをリクライニングすることはできなかったが、シート間は十分余裕が持たせてあり、広々として使えていい。結局、同じボックスには人が来なかったので終始占有することができたが、他のボックスもそれなりに人が座っていたので、この時期としてはまぁまぁ利用されていたのではないだろうか。なかなか乗り得感のある列車だった。
列車は新宿駅を出るとしばらく中央線快速の合間を縫って走ったあと、御茶ノ水で渡り線を通って総武線に入っていく。秋葉原駅を後にしてさらにしばらく進んだあと快速用の路線に渡っていく。途中ちょこちょこと停車を繰り返すのだが、派手な列車は目に付くようで停まるたびに視線を感じる。そうこうしながら千葉を出たあたりからは徐々に郊外の風景と変わっていく。成田を出たあと、お手製の乗車証明となぜかポケットティッシュが配られ、車窓はさらに何もないのんびりとした風景に変わっていった。そうか、台湾へ行くとき成田エクスプレスで通ったばっかりか…。あまり変化がないうえに、通ったばかりということもあって、寝てるのか起きてるのか分からないような時間が続いていた。佐原でどっと人が降りていくと、車内はとても寂しくなりやがて終点のく銚子駅へ到着、ここで列車を降りることになった。
銚子駅で銚子電鉄に乗り換え犬吠に向かうつもりなのだが、どうも団体さんとも重なってしまい、意外にも乗り切れないほどの人で車内ではとても窮屈な思いをすることになってしまった。脇から聞こえてきた会話によると、バス3台分の団体が一気に乗り込んだらしい。とりあえずどうにかして一日乗車券を買うことができたが、少しガマンすることにする。銚子電鉄といば、窮地をネットで訴えて一躍有名になってしまったが、この一日乗車券にもそのときの救世主である「ぬれ煎餅」の引換券がついている。なかなか面白い企画だ。ところで銚子には何度か来ているが、思えば車がほとんで、銚子電鉄に乗るのは随分とひさしぶりのことになる。なのにあまり様子は変わってないようだ。犬吠でほとんどの人が降りいき、ようやく車内には静けさが戻ってきた。しかしそれもわずかひと駅区間だけで、キャベツ畑を眺めいているうちに終点外川へ到着となった。
外川で1本見送り、次の電車が来るまでしばらくあたりを眺める。停留中の澪つくし号の先には遠く太平洋がかすかに見える。あたりはどこかのんびりしていて、ゆったりとした時間だけが流れていた。そんな別世界のような空間の中心にこの外川駅がある。やがて折り返しの電車が到着し、ひと駅となりの犬吠駅へ戻ることにした犬吠駅は白壁のどこか外国を思わせる姿が印象的である。駅の中はぬれ煎餅をはじめ、いろいろなお土産が売られていた。副業で頑張ろうしているのは周知の通りで、帰りにはぬれ煎餅を買って行こうと思う。折角ここまで来たので、しばらく歩いて犬吠埼まで向かう。駅から歩くことおよそ10分、まずは灯台に登ってみる。99段ある階段を登り切り、外へ出ると目の前には大海原が広がっていた。この海を見ていると地球がまわるいことが何となく分かるというが、いやぁ気分爽快、何も考えずもう少しボーっとしておこう。
しばらくして灯台を降りたあと、地のものでお昼にすることを考える。銚子と言えば新鮮な魚介類、ちょっとだけ贅沢するか…。お昼を済ませたあと犬吠駅へ戻り、今日はこれで帰ることにした。素晴らしい風景に美味しいもの、、、これでまた明日からも少し頑張れるような気がしてきた。(笑)行きと同じようにして>銚子電鉄の電車で銚子まで戻ることにする。意外にも帰りの電車も混雑していた。大半は観光客だったようだが、地元の足としても大事な存在には違いないので、これからも頑張って欲しいものである。往復乗ってもわずかばかりの距離のところだが、またいつか来たいものである。
銚子からの帰りも、行きと同じ電車を利用してもよかったのだが、少し趣向を変えて高速バスに乗ることにした。経由地は何パターンかあるようだが、結構本数は出ている。どうせ空いてるだろう…と思いきや、意外や意外、途中で学生の団体なども乗り込んできて補助席まで満席になってしまい、途中で積み残しが出てしまう程だった。高速に入ったあともバスは順調に進み、渋滞に巻き込まれることなく戻ってくることが出来た。バスは東京駅八重洲口を経由したあと、終着の浜松町・貿易センタービルへ到着。高速に乗る前には遅れが出ていたにもかかわらず、定刻ぴったりの到着だったので、渋滞がなかった分、挽回ができたのだろうか。昨日、今日と急に思い立った小紀行だったが、それなりに充実した時間を過ごすことができてよかったと思う。最後のおまけに、東京タワーを遠くから眺めておいて帰ることにした。