■旅日誌
[2007/11] 紅葉・SL汽車旅
(記:2007/12/31)
(記:2007/12/31)
先月のSLもおかで触発されたか、もう1両の方のSLが只見線を走るとのこで出向くことにしました。主に春と秋、年に2、3回のことなので沿線のギャラリーの数も物凄く多かったです。当然、指定も取りづらく半ば諦めていたところ、ひょんなことから入手ができたので急遽遠征することになりました。さらには折角ということでSL磐ばんえつ物語号にも乗ってみることにしました。
※下線部をクリックすると写真が表示されます
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1日目
今日はまず上越新幹線で一路新潟へ向かう。これまで通しで下りの上越新幹線に乗った記憶がないが、新潟到着は9時、意外と近いかもしれない。SLばんえつ物語は冬季以外のほぼ毎週末に運転されている人気の列車で、新津を経由して磐越西線の会津若松の間を往復している。磐越西線は森と水とロマンの鉄道という愛称が付けられており、阿賀野川沿いの景色のいいところを走り抜けている。今回は明日の只見線がメインではあったが、折角なので一泊して今日はこちらのSLにも乗ってみることにしていた。
後付けでの予約だったがSLばんえつ物語の指定はえきねっとからすんなり取ることができた。新潟で出発を待つSLばんえつ物語は既に多くの見物人に取り囲まれていた。どこへ行ってもSLは人気ものである。中でもSLばんえつ物語号は知名度もあり、いつも大賑わいのようである。リニューアルされた客車もなかなかいい雰囲気である。
SLばんえつ物語号は長い汽笛音を残して新潟駅を出発、SL独特のゆっくりとした加速がまたいい。このSLばんえつ物語号を牽引する機関車はC57 180号機、比較的状態もよく保存されており、最初の停車駅である新津で復活を果たしたものである。10分ほど停車して出発すると、なぜか向かいの席の人は降りていたようだった。ここから磐越西線に入り、徐々に市街地から山里の風景へと変わっていく。
続いて五泉駅で停車、かつて蒲原鉄道が出ていったホームを右手にみながら列車は先へ進む。このSLばんえつ物語号はイベント列車の色合いも強く、車掌が各車両を回って挨拶したり、乗車記念ピンバッチの争奪じゃんけん大会があったりと客を飽きさせない工夫も凝らされている。同じボックスの空いた席には、先ほどの五泉から乗ってこられた若いご夫婦が着席し、いつしか一緒になってSL談義など始めてしまった。いつもはこのSLを追っかけてるそうだが、今日は乗車してみようということになったらしい。こちらからは先日SLもおかに乗ってきたこと、明日はSL会津只見紅葉号を予約していることなど話をする。通路を挟んだ向こう側では比較的お年を召した五姉妹が話しに盛り上がっており、気がつけばそちらの話の輪に加わってしまっていた。車窓の紅葉はこれから本番を迎えようとしており、線路沿いの阿賀野川の風景もひときわ目を惹く。こんな汽車旅も悪くない。
SLばんえつ物語号は給水などの作業ため途中停車を繰り返していく。確かに手間はかかるが、昔は当たり前のようの行われていたことだ。今のご時世からは考えられない。流れていく景色を見ながら、そんなことを考えてしまった。喜多方を過ぎて磐梯山が見えてくるとまもなく終点となる。SLばんえつ物語号は終着会津若松へ到着、横にはあかべぇ塗装のあいづライナーが止まっていた。
会津若松へ来たのはいつ以来だろうか。ここ会津若松はかつて交通の要所として栄えたところでもあり、いうまでもなく歴史の街である。それこそ散策でもしだしたら一日二日でも足りないかもしれない。明日もう一度ここに寄ることになるのだが、今日はここには寄らず喜多方へ行ってみることにしている。機回しされてきたSLを見送って、会津鉄道が出て行ったあと、喜多方へ向かう。
喜多方へ寄って遅めのお昼にすることにした。喜多方は蔵のまちとも言われ、白壁の蔵が立ち並ぶ景観は歴史的価値も見直されいまも保存されている。よく分からないが今日は何やらお祭りをやっているようである。駅から少し離れた中心部へと移動し、どんなものか少しだけ様子をみておくことにした。少し散策したあと、ここはお決まりモードでラーメンを一杯いただくことにした。
少し慌しかったがそのまま喜多方駅へもどり、今日は再び新潟まで舞い戻ることにしている。今回は土日きっぷを利用しての移動だったので、残りの指定券を権利を行使して帰りもSLばんえつ物語号を利用することにした。西日に照らされてSLが喜多方駅へ入って来た。
行きに比べると席に余裕があるようだった。徐々に日は西に傾き車窓の紅葉のさまは、より赤みを帯びてきている。やがて日は沈み、夜の帳が落ちてあたりは暗くなっていく。外の様子がよく分からなくなってきたがSLはひたすら疾走していく。途中の停車駅で宵闇をバックにたたずむSLもまた絵になるものだと思った。新潟に到着したときはすっかり夜になっていた。朝の出発時のような賑わいはない。少しだけ運転台をのぞかせてもらう。そこに立っただけで煌々と燃え盛る炎の温度を感じる。"夜行"SLをあとにした。
2日目
再び今日も新潟から出発する。昨日とは逆に上りの上越新幹線に乗り込み、朝靄に囲まれた山々を左手に見ながら浦佐へ移動する。目的のSLが走る只見線に乗るためには、小出まで行かなければならないのだが、SLに乗り継ぐための列車があるので、その出発駅である六日町を目指すことになる。新潟から普通列車でも時間的には間に合うのだが、新幹線が使えるので少し楽をすることにした。
新幹線なら長岡でも越後湯沢でもどちらでも構わなかったが、これまで利用したことのなかった浦佐から上越線に乗り換えることにした。今日乗ろうとしているSL会津只見紅葉号には、小出側から乗り継ぐために六日町を起点として只見紅葉リレー号が設定されていた。少し早めに六日町に着き、ほくほく線の列車を何本か見送る。以前、長岡始発でリレー号が走ったことがあるようだが、今回は六日町が始発となる。只見紅葉リレー号は普段使わない2番線で折り返していくようだった。
かなり昔に只見線には乗ったことがあるが今日はそのとき以来二度目の訪問になる。リレー号は3両編成、すべて自由席で1両はロングシートの車両だった。進行方向右手に着席し、リレー号は六日町を出発した。小出駅に到着すると上越線のホームから只見線のホームに客を乗せたまま入れ替えが行われる。30分ほど時間調整で停車したあと出発となる。
車窓には紅葉の風景が続き心和ませてくれる。上下交換のため只見川沿いで停車する。今日ものんびりとした汽車旅となる。長いトンネルを抜ると田子倉湖を右手に見えてくる。今日も同じボックスに座った方たちとしばし談笑したりして只見まであっという間に時間が過ぎていった。ここまでご一緒してきた方たちはSLには乗らず午後の列車で戻っていくとのことで、この列車もそんな利用の仕方がされるようだった。
只見に到着するとSL歓迎ムード一色、駅前はまるでお祭りのような賑わいだった。しばらく線路際で会津若松側からやってくるSL会津只見を待つ。やがて遠くから汽笛の音が聞こえると、目の前をSLが通りすぎて行った。リレー号と横並びに止まってるのはまずか数分で、すぐに出発して行った。
SLは転車台で方向転換され、復路に備えて給水などの作業が行われる。ひと段落したところでこちらも食事にすることを考える。露店で売られてた地のもので軽く昼食をとる。SL会津只見紅葉号は旧客3両で編成されており、運よく手に入った指定券は上りの会津若松行きのものである。SL会津只見紅葉号は昨日と今日の2往復が設定されており、この上ない抜群の景色をバックに写真を撮りにくる人も相当多いはずだ。
SL会津只見紅葉号を引っ張るSLは真岡鉄道所有のC11 325号機で、こうしてイベント用に出張してくることもしばしばある。只見駅は山間の小さな駅でのんびり過ごすにはもってこいのような町かもしれない。今日は普段にない賑やかさのようだが、只見線というと日に数本程度しかなく、いつ廃止になっても不思議でないくらいの状況にある。しかしこのあたりは屈指の豪雪地帯でもあり併走する国道は厳冬期には大川近くで通行止めになってしまうため、かろうじて残されたという。それだけ厳しい、環境下にあるということで逆に廃止を免れた路線でもある。
SL会津只見は多くの人に見送られて只見駅を出発した。非常にゆったりとしたペースで滑り出していく。滑り出すというより、コツンコツンと引っ張られていく。色とりどりの山肌が水面に写り、只見川沿いの紅葉の風景はまさに今が見ごろのようだ。これなら素晴らしい写真がとれるとあり、沿線の追っかけの数もすごいことになっていた。SLにとっても只見線は決して簡単にこなすことはできない難関路線でもあり時折給水のために停車を繰り返していく。わずか10分くらいの停車なのに結構な歓迎振りで盛り上がりをみせている駅もあった。地元物産品の即売会あり、お茶の振舞りあり、まぁそれはそれで楽しいものである。
いつしか山間の区間を抜け田んぼの中を列車は走っていた。西に傾きかけた日に照らされた磐梯山が視界に入ってくると、終着の会津若松はもう間もなくである。最後に西若松、七日町と停車して終点の会津若松へ到着した。昨日もいたあいづライナーが止まっている。気がつけばあっという間の3時間だった。
残念ながら今日はこのまま東京へもどらなければならない。ちょうど接続するようにしてあいづライナーに乗り換え、郡山へ向かう。もうすっかり夜になってしまったので外の景色は見えない。この編成は長い間ここで活躍しているようだが、内装も外装も大きくイメージチェンジされており、まだまだいろんな使われ方をするようだ。快速なので特別な料金なしで乗れるのが信じられないところだが、快適な乗り心地についついうたたねしてしまい気がつけば郡山に到着するところだった。あとは新幹線に乗り継いで東京へもどるだけである。不思議なところへタイムスリップした2日間が過ぎてしまった。