■旅日誌
[2006/10] 飛龍、天に昇る
(記:2006/10/25)
(記:2006/10/25)
ここ1、2ヶ月は意外と忙しく、お出掛けする余裕があまりありませんでした。10月になって多少は落ち着いてきたので、思い切ってお休みをいただいて3連休にしてみました。今回は全国ケーブルカー乗りつぶしの最後ということで天橋立ケーブル(丹後海陸交通)をやっつけに、遠路遥々遠征することにしました。もちろん、行きと帰りにちょっとしたオプションも付けてあります。
※下線部をクリックすると写真が表示されます
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1日目
いよいよ大詰め、全国ケーブルカー乗りぶつしも最後に残ったのが天橋立だった。天橋立には一度訪れたことがあるのだが、そのときはちょっと途中下車したくらいで、ほとんど素通りだった。今回は金曜日を休暇にして3日間使って車で往復することを考えている。出発する2、3日前になって、東名の集中工事が行われることを知り、急遽中央道へ迂回することにした。約2週間、平日を使ってかなり広範囲で車線規制が行われるため、東京-名古屋の通過には普段より2時間近く余計にかかるらしい。出だしから、ちょっとついてないかもしれない。
街中で渋滞にはまるのもイヤなので、朝早めに出発する。とにかく、調布ICから中央道に乗り小牧を目指すことを考える。中央道を全線走り通すのは初めてのことだが、いつものように諏訪湖SAで休憩をとる。以前もそうだったように、不思議とここに寄るときは天気がいい。その後も順調に名神、中国道を抜けていく。万博記念公園や伊丹空港の脇を自分の車で通るのもまた不思議な気分だった。舞鶴若狭自動車道から京都縦貫自動車道へ入ると対面通行となり、走ってる車の数も極端に減ってしまう。終着の宮津天橋立ICにはETCゲートはなく、窓口でカードを渡して精算を済ませる。天橋立に到着したのは午後4時、大体見込み通りだろうか。天橋立駅近くに予約しておいた宿に向かい、チェックインしてからしばらく散策することにした。
夕暮れ時だったが、北近畿タンゴ鉄道の踏み切りを渡り、天橋立ビューランドへ向かうことにした。展望台のある山の上にはモノレールかリフトに乗っていくことになるのだが、とりあえず行きはモノレールに乗ることにした。ちょうど発車間際にあたり、切符を買って慌てて乗り込むと一人貸切状態だった。まぁ、平日のこの時間なのでこんなものだろう。ここ文殊エリアから眺める天橋立は縦に伸びた姿をしており、また覗きして見える姿は龍が飛び立つ姿を連想させ『飛龍観』と呼ばれる。晴れ晴れした気分でしばらく龍の姿を眺めることにした。
帰りはリフトを利用する。まだ少し明るいのでもうしばらく辺りをうろつくことにしよう。智恩寺を通って、松林や砂浜を歩いてみる。海はとても静かで、青い空が遠くまで見渡せる。戻る途中にタイミングよく船を通過させるため転回橋が動いたところに出くわし、珍しい様子を目にする。さて、温泉と何か美味しいもので今日の疲れを癒すことにしよう。
2日目
海を眺めながら朝食を済ませる。今日も秋晴れのいい天気である。のんびり観光するのも悪くはないが、今回は自分の車で来たということもありケーブルカーに乗ったあとで丹後半島を一周してみることにした。が、これも出発の2、3日前に分かったことなのだが、周回する国道178号が道路損壊のため途中通行止めになっているという。7月の大雨によるもので、復旧には年内いっぱいかかるというのだから被害は甚大だったことが想像できる。少し遠回りでもいいので迂回路がないか探してみたところ、何となく行けそうな道があったのでそこを抜けて日本海側へ出て半島の突端まで行ってみることにした。
宮津湾に沿って周り込む形で傘松エリアへと向かう。全国ケーブルカーの乗りつぶしもいよいよ最後となる。早朝なので人の姿はなく、今日も貸切状態でケーブルカーへ乗り込む。係りの人から「後ろ側に座ると天橋立の姿がよく見えますよ」と促され、最後尾の席に座る。距離にしてわずか400mほど、ケーブルカーはゆっくりと上昇していった。下りとすれ違い、高度が上がるにつれ横一文字の姿が見えてきた。所要時間は数分ほどとあっけなく、何事もなかったかのように完乗を遂げる。駅に隣接するところからも天橋立の姿は見ることができるのだが、少し離れたところにある展望台へと向かうことにした。階段を登りきると目の前がぱぁっと開け、昨日とはまた違った姿を目にすることになる。こちらがまた覗きの発祥の地とされているが、ここ北側からの眺めと南側からの眺めはまったく違い、好みによって人気も二分されるという。未だ誰もいない展望台で気兼ねなくこの素晴らしい景色を堪能することになった。
折角ここまで来たので、とりあえず伊根町へ寄ってみることにした。舟屋の景色は一度自分の目で確かめておきたいと思ってた場所でもある。海岸沿いをしばらく進み、やがて車がすれ違うのもままならない狭い道となり、まるでタイムスリップをしたかのような景観がしばらく続く。古い町並みというと奈良井宿なども有名だが、ここも独特の雰囲気をかもし出している。高台にある道の駅に車を止め、周囲の眺めを確かめてから、もう一度舟屋の景色を見ておくことにした。
内陸を通る道にはところどころ迂回路を示す案内が出ていた。確かに狭い箇所も多く大型車の通行は困難だが、特に迷うこともなく抜けてくることができた。途中大きな牧場を経由して、最後は丹後縦貫林道を下って日本海側へ出てきた。ここから国道178号を東へ進み、丹後半島の突端へと向かう。そこには経ヶ岬灯台があり、そこからの眺めもまた素晴らしいという。この時期さすがにここまで来る人も少ないようで、ちょっと寂しい感じもする。駐車場からも灯台の姿がちらっと見えるのだが、ここは近くまで行っておきたい。距離はそれ程でもなかったが、アップダウンはかなりきつかった。ふぅふぅ言いながら白い灯台のところへとやってくると、その先は日本海の絶景が広がっていた。毎度ながら、苦労してたどり着いた人だけに与えられた風景である。しばらくぼーっとするだけで、とても落ち着いた気分になれる。と、まぁずーっとそうしてるわけにもいかず、我に返り再びあの山道を戻っていかなければならないことを思い出す。
さて、今日の観光はこれでおしまいにして、再び長距離の移動となる。しばらく国道178号を西に進み、北近畿タンゴ鉄道と並行する道を通って宮津天橋立ICへと向かう。とりあえず京都縦貫自動車道に乗ったが、高速道路ばかりでもつまらないので、綾部安国寺ICで降りて途切れているところを国道27号で補って再び丹波ICから高速を利用してみようと思う。それにしても交通量が極端に少ないけど、採算性なんてあまり考えてないんだろうなぁ…。国道27号に出たあとものんびり進むことにして、途中雰囲気のよさそうなところで昼食にする。何とも贅沢な休日だ。
丹波ICから高速に入ったのはいいが、こちらもまた中途半端なところで途絶えてしまう。沓掛ICを降りたあと混雑した国道9号のバイパスを行くのも面白みがないので、山崎方面へ南下してみることにした。センターラインがあるようなないような、いわゆる1.5車線の生活道路が続き、時折「丹波街道」という案内が目に入る。リュックを背負って散策をしている人、近くの学校に通う学生、歩いてる人の数は意外と多い。地図を信じてどんどん進んでみたものの、最後になって道幅は極端に狭くなり、すれ違いも困難なところに出くわしてしまった。なのに、通過する車の数は多くデッドロックのような状態に陥り、さらに輪をかけて路線バスまで突っ込んでくる。よくよく見ると運転手の他にもう一人乗務しており、時折外に出て混雑する車をさばきながら先へ進んでいるようだった。どうもよそ者が入り込んでくるような場所ではないみたいである。どうにかしてこの難関を抜けると、期待通りそこは大山崎ICの真下になっていた。案内の指示のまま名古屋方面へ向かうと京滋バイパスに導かれ、その後名神、東海北陸自動車道を通って今日の宿の場所にしていた郡上八幡へと向かうことになった。
3日目
公共施設の安宿だったが、雰囲気は悪くなかった。これは穴場的なところかもしれない。昨日郡上八幡ICを降りたときはもう夕方に差し掛かっていたので観光することは考えなかったが、今朝はちょっとだけ早起きして町歩きしてみようと思う。夏場なら郡上八幡踊りの見学もできたが、ちょっと時期が外れてしまっている。だからといって紅葉の季節でもないので中途半端ではあるが、まぁあまり気にしても仕方ない。郡上八幡は山間の狭いところに街が形成されており、地形的にも面白い形をしている。周囲の幹線道路はトンネルを通じてぐるっと囲む感じになっており、街の中心に位置する山の頂に郡上八幡城が建っている。朝の心地よい空気を感じながら古い町並みの中を何となく散策する。高山などにも見られるように、地方都市のいわゆる小京都という風貌である。日中の賑やかな雰囲気も悪くはないが、こういう静まり返った風情もまたいい。
郡上八幡は、実は知る人ぞ知る鍾乳洞が多い場所でもある。今日はその中のひとつ大滝鍾乳洞へ寄ってみることにした。国道から入ったくねくねとした坂道を抜け、かなり山深いところに目的の場所はあった。一応、営業時間にはなっていたが、まだ人がやって来るような時間ではない。窓口でも突然やってきた訪問者に驚いた様子だった。ここ大滝鍾乳洞は洞窟の入り口まで木製のケーブルカーに乗っていくことになる。法律的には鉄道の扱いではないので乗りつぶしの対象とはいえないが、昨日の完乗後、番外編というか、何となく雰囲気が気になったので今日寄ってみることにしていた。
「早いね、どこから来たの?まだ紅葉の時期じゃなかったけど、見ごろは今月末あたりかね…」入り口で声を掛けられ早速中へと入っていく。本格的な鍾乳洞としては、秋芳洞以来だろうか?こんな時間なので、他にやってくる人もなくいろいろとじっくりと時間をかけて見学することができた。規模としてはそこそこだろうか、しかし中の方には大きな滝があったりと、かなりの高低差もあって入り組んだ感じで変化に富んでいる。そうこうしてしばらくしてから外へ出てみると、向こう側にケーブルカーが止まっていたが、帰りは歩いて下りてくることになる。釣堀やバーベキューの施設などもあり、人出が多いときはとても賑やかになるようだ。朝日がまぶしくなってきた中、この場所をあとにした。
郡上八幡ICから高速に乗ってもいいのだが、ちょっとだけ遠回りして帰ることにした。遠くにお城を見ながら国道256号の狭い九十九折の急坂を上っていく。峠を越えるとこんどは緩やかな下りとなり、車のスピードも自ずと上がる。その後も鍾乳洞の案内がいくつか目につき、時折オオサンショウウオ生息地なんていうのも出ていた。山間のとても静かなところをペースよく進んでいき、国道41号に出たところで左折し、少しだけ高山方面へ向かう。その後、下呂温泉の手前で右折し、国道257・256号を通って中津川へ抜けることにした。ここらは裏木曾街道という名前がついており、こちらものんびりとした風景が続いていた。最後に有料道路となってる大きな橋で木曽川を渡り、あとは中津川ICから中央自動車でひたすら東京方面を目指すことになった。今回は車で移動する時間がほとんどで、走行距離は1500キロを越えていた。天気にも恵まれ最後に残ったケーブルカーの乗りつぶしもできて、とても有意義な休日を過ごすことができた。さて、次はどこへ行こうか??