■旅日誌
[2023/10] 開業!ライトラインに乗って
(記:2023/12/31 改:2025/1/1)
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路面電車としては75年ぶり、全線新設のLRTとしては国内初となる宇都宮ライトレール・宇都宮芳賀ライトレール線が開業しました。開業まで色々あったようですが、いざ運行が開始されると各方面から注目され、業績もここまでは上々のようです。開業特需が落ち着いた平日に、とりあえず乗ってみることにしました。
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 日帰り
ルート概略
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宇都宮、宇都宮ライトレール
先月のやくもに引き続き、今月も夏休みの振り替えで1日休暇が取得できたので、前々から気になっていた宇都宮ライトレールに乗車すべく遠征することにした。岡山~米子に比べれば比較的近場なので、スケジュールはあまりタイトに考えていなかったが、少しだけ捻りを入れて行きは東武線を利用しようと思う。最近だとスペーシアXが話題だが、リバティすら乗ったことがなかったので、ちょっと早い時刻の列車を予約していた。というわけで、朝7時半発のリバティきぬ105号を目指して、浅草へ向かう。よくよく考えてみれば、何もこんな早い出発である必要はなかったが、寝坊せずちゃんと起きることができたので、なぜか日比谷線虎ノ門ヒルズ乗り換え銀座線に乗り継ぎ浅草へ向かうことにした。平日の朝だったが、本格的なラッシュはこれからといった頃に浅草駅へ到着する。
特急リバティきぬ105号
いつ以来の浅草だが分からないが、東武線に乗るのはスカイツリー以来なので、かれこれ5年は経っている。3両のリバティきぬ105号は、平日にも関わらずアウトバウンドの方や、やや年齢の高い元気な集団でほぼ満席、こうしてコロナ前の日常が戻ってきたのはいいことかな…。そんな感じで初めてのリバティだったが、いまどきの特急らしくとても快適だった。1時間ほどで乗り継ぎ駅の栃木へ到着、後ろ姿を見送り東武宇都宮行きの普通列車を待つ。高架化した立派な駅は記憶になく、東武宇都宮線に乗るのは多分乗りつぶし以来のことだと思う。特急でビュンと1時間、ローカル線でタラタラ40分と若干アンバランスだったが、10時前には到着することができたので、あとは目的の宇都宮ライトレールに時間をあてることにしよう。
特急リバティきぬ105号
分かってこっちまで来たので別に気にはしてないが、JRの宇都宮駅は2キロくらい離れた場所にあり、そんなに急いでもいなかったので歩いて移動する。まだ目覚めてないオリオン通りのアーケード街を抜けて、大通り沿いに進み20分ちょいで宇都宮駅西口へ到着、特に駅に用はないのでこのまま東口へ向かいライトレール乗り場を目指す。ともあれ列車が入ってくる様子を見てから、列車に乗り込む。宇都宮ライトレールは、いわゆる信用乗車方式を採用していて、すべての扉に乗車用、降車用のカードリーダーがある。開業当初は現金を使う人で混乱していたみたいだが、まぁ時間が解決してくれるだろう。朝のラッシュはひと段落したところで、車内はほどよく席が埋まる程度だった。
東武宇都宮線
宇都宮駅東口を出発し、東向きにほぼ直角にカーブを切ると、しばらく鬼怒通り路面電車のような形で進む。ただ、車が通る車道と線路は分かれているため、路面電車というのとは違うかもしれないが、電車用に黄色の矢印信号が設置されている。停留所も道路中央で隔てられ設置されており安全性は申し分ないが、その分スペースを使うので渋滞が心配されるところだろうか。難関ともいえる国道4号との交差は高架橋で交わす。車両基地のある平石を過ぎるとあたりは田舎の景色となるものの、それとは不釣り合いの高規格な路線列車は進み、そのまま鬼怒川を渡る。法律で最高速度が40キロに制限されているのは仕方ないところだが、飛山城址の先の区間で再び併用軌道に戻る。そして、清陵高校、作新学院大学、グリーンスタジアムを経由するところなど、なかなか考えられるなぁと感じる。2つ目の大きな立体交差を通過し、再び鬼怒通りと合流、ここからゆいの杜エリアへと入って行く。
宇都宮ライトレール
ゆいの杜エリアには、実は試運転を行っていたときに一度来たことがあり、今日は車内から街並みを見渡すこととなった。いかにも新しく開発されたニュータウンといった感じで、ロードサイドには全国チェーンの大型店が並び、新しいLRTが颯爽と走る姿が映える場所ともいえる。そして芳賀町工業団地管理センターを左折し、しばらく進むとこの路線の最後のハイライトともいえる、旧碓氷峠にも匹敵する60パーミル級の急坂が待ち受けている。だが列車は、この勾配をもろともせずやすやすと上り切り、ホンダの大きな工場が見えてくるとがやがて終点の芳賀・高根沢工業団地に到着した。
宇都宮ライトレール
終点の芳賀・高根沢工業団地付近には特に見るようなものもなく、乗ってきた列車はやり過ごすことにして、1本あとの便宇都宮駅へ戻ることにした。帰りもそこそこ利用者はいて、途中テレビの取材らしき様子も見掛けたが、この路線が定着しつつあることが何となく伝わってきた。構想から30年、時間をかけ過ぎだとか、そもそもLRTには反対だという意見も見られたようだが、ここまでの実績をみると上出来と言っていいのではないだろうか。単なる通勤通学用途だけだと時間帯によっては上り・下りで極端な混雑度の差が出てしまうけど、工業団地の通勤の足として逆方向の利用者を取り込み、例えばホンダは通勤バスを廃止するなど企業側の本気度もうかがえ渋滞緩和にも一役買っている。下手をすると競合関係になってしまうバス会社は宇都宮ライトレールに出資し、フィーダーバスとして役割を担い、また、パークアンドライド促進のための無料駐車場スペースを設けるなど、さまざま施策が練られている。沿線には大学や高校、ショッピングモールも点在しており、LRTの強みである高頻度・定時運行が認識されれば生活路線として根付いていくのではないだろうか。
宇都宮ライトレール
正午を少しまわったあたりで宇都宮駅へ戻ってきた。まだ物珍しさもあり写真を撮る人もちらほらいて、しばらく自分もそこで行き交う列車を眺めていく。そういえば車内の広告で知ったのだが、この路線の電力は地域由来の太陽光発電や家庭ごみ等の焼却による発電など再生可能エネルギーでまかなわれているのだとか…。このライトレール、将来的にはJRの路線を跨いで駅西側への延伸が計画されているという。大通りに占める場所の確保、既存バス網の再編成など、どう課題を乗り越えていくのか見守っていく必要はあるのかなと思う。コンパクトシティというと富山の名前が挙がられることもあるが、これらの地方都市のありかたとしてひつの事例にでもなればいいのかなと思った。
宇都宮ライトレール
とりあえず今日の用事はこれで済んだのであとは帰るだけなのだが、少々寄り道して宇都宮名物のあれでお昼でも、、、とは思ったもののやっぱり早めに帰ることにした。とはいえ新幹線に乗ってしまうのもあっけないし、普通列車でちんたらというのもちょっとつらい…。というわけで、湘南新宿ライン快速グリーン車を利用、朝早かったせいもあって、時折、意識が飛びながら、ただぼーっと外を眺めてるうちに今日は渋谷で下車。以前は乗り換えで毎週のように利用していたが、何年振りかで工事の様子など確かめることにする。そこには自分の知ってる渋谷はなく、これからもますます変わっていくんだなぁ~と、思わずため息をついてしまった。
湘南新宿ライン・快速