■旅日誌
[2023/9] 八雲立つ
(記:2023/11/19)
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来年3月に引退が予告されてる381系・やくもですが、退役前に乗っておくことにしました。最後の「国鉄型」ともいわれる特急・やくも。日帰り強行日程でしたが、振り子を利かせて中国山地越えを疾走する独特の走りっぷりを堪能してきました。
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 日帰り
ルート概略
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岡山、やくも7号、米子
夏休みの振り替えということで無理に1日だけ休暇を取得したので、今日はド平日。その貴重な1日をどう使うか迷った挙句、この先乗る機会があるかどうか分からない381系のやくもに乗車することにした。そんなわけで強引に組んだスケジュールはかなりタイトで、朝一の新幹線岡山へ向かい、やくも7号に乗り継いで米子へ抜けて、空路羽田に戻って来ることにしている。国鉄色リバイバル塗装や、パノラマグリン車を連結したスーパーやくもなど、見ておきたい、乗っておきたいものもいくつかあったが、時間的制約から選択の余地はなく、さらに終点出雲市まで行ってしまうと戻ってくるのがきつくなるので、やむなく米子で途中下車することにしていた。が、しかし、これが功を奏すことになるとは、このときは思いもよらなかった。
笠雲がかかった富士山
いつもの平日よりもはるかに早起きして新横浜6時発のひかり533号を目指して、新横浜線の始発列車を捕まえる。開業以来初めて、用事があっての利用だったが、あらためて新横浜駅での乗り換えの導線を見ておく。もちろん新横浜駅は数知れず利用してきたが、思えば東海道新幹線に乗るのも実に4年ぶりのこと、前回はというと、、、そうかコロナ前で、やはり岡山を日帰りで往復してか…などと考え臥せっているうちに出発時間が近づいてきた。
やくも6号
平日にこの列車を利用するのはあまり記憶になく、そこそこ利用者はいて、コロナ前まで人出は戻っているように思えた。だが、ここ2、3日、全国的に天気はあまりよくなく、特に山陰地方は大雨が続き、島根県では線状降水帯の予報が出ている。それより東の方はというと回復傾向にあるようで、東海道・山陽新幹線も普段通り動いたので、まぁ大丈夫だろうとわりと楽観的に考えていた。とはいえすっきりという感じでもなく、富士山には笠雲がかかっていた。静岡駅の手前で謎の信号待ちがあった影響で4、5分遅れが出ていたが、山陽区間での通過待ちや回復運転のおかげもあって、岡山には定刻で到着、どうやら伯備線は平常運転とのことだが、山陰線の動向がどうも気になる。
やくも7号
列車の到着まで少し時間があったので、駅構内でお昼を調達、ここ岡山は駅弁の種類が多いと言われているが、旅気分を盛り上げる重要なアイテムだ、、、というか、朝早い軽め朝食だけではもの足りないだけなのだが。それほど混雑はしてないだろうと見越して指定は取っておらず、早めに自由席の列に並んでおき、何本か普通列車を見送る。やがて折り返し目的の列車となるやくも6号が向かいのホームに到着、一旦引き上げ線へ向かい、このあとの入線を待つ。あらためて東側からやくも7号としてやって来た381系だが、この日は3両増結して7両で運行されていた。後の方では某大手旅行会社の団体客の姿があり、出雲大社をめぐるツアーかなんかだろうか。
やくも7号
やくも7号は定刻で岡山を出発、リニューアルされた自由席の埋まり具合は3、4割程度といったところだろうか、倉敷から伯備線に入り、中国山地越えを目指す。早速、高梁川沿いのカーブを振り子を利かしてがんがん駆け上がっていく。乗り物に弱い人にはかなりきついと言われるが、幸いまったくその心配はない体質なので、むしろ楽しむくらいな気分で流れる車窓を眺めていた。そんな感じで新見駅を過ぎたあたりで、岡山で調達したお弁当を手にする。県境となる矢田峠でサミット越えの放送があり、ところどころ強い雨に遭遇する。もちろん、規制値に達すれば抑止がかかってしまうはずだが、ここまで列車は力強く走っていた。山間部を行くので、途中で足止めを倉うのではないか、正直心配になっていたが、うっすら大山が見えてくるあたりまで来れたので、少しほっとしてそろそろ降りる準備を始めることにした。
381系・やくもの横サボ
伯耆大山駅で山陰線に合流し、もう間もなく米子に到着する。最初は運転停車くらいにしか思ってなかったが、いやこれは何かあるかな?と異変を感じ始めたところで山陰線運転見合わせの放送が入る。どうやらこの先の大雨の影響で列車が出発できず、米子駅のホームが空くのを待つとのことだが、20分待っても30分待っても一向に動き出す気配がない。車内もざわつき始め、乗り継ぎを考えていた境線の出発時間もとうに過ぎてしまい、少々焦りを感じ始める。さすがに帰りの飛行機も出発ギリギリというわけではなく多少余裕を持たせていたが、このままだとさすがにやばい…。結局、1時間くらい待ったところで山陰本線の運休が決定、この列車米子駅で運転打ち切りとなり、米子駅のホームが空き次第、運転再開となった。
381系・やくも
ここまで乗ってきたやくも7号も、米子駅から先が運休となり、バス代行となるらしい。そうなると岡山で見かけた団体さんとかはどうなってしまうんだろう、、、などと人の心配をしてる場合ではなく、急ぎ米子空港に向かうことを考える。ちょうどいいタイミングの路線バスも既に行ってしまい、橋上化された新しい駅の中をウロウロしていると、運がよかったのか悪かったのか、機材繰りで搭乗便に問題が発生、搭乗手続きを中止しているとの連絡が入る。やくも7号足止めの影響で空港到着が間に合わないというリスクは回避できたが、もし欠航なんてことになったら、おいおいやくもは動いてないし、まさかの足止めか?伯備線381系の走りっぷりを堪能していたときは、まさかこんなことになるとは思いもよらなかったが、少し落ち着けと自分に言い聞かせ運航状況を見てみると、折り返しとなるはずの便は機種変更した上で羽田を出発しているようだった。とりあえず飛んでくれればどうにかなるだろうと思い、次の境線の列車空港へ向かうことにした。
やくも7号
予約していた便は当初のB738からA321neoに機材変更され、座席指定をやり直す必要もあり搭乗手続きが中断されていたようだった。新しい出発時刻は50分遅れの15時20分、まったく違う機種へこんなに素早く入れ替えるなんて、さすがANAさん!LCCでは為せない技かもしれない。前回の長崎に続いて、またもシップチェンジとなってしまったが、とりあえず飛んでくれればよかったので、この程度の遅れならまぁよしとするか。ラウンジで少し息を整え、あらためてNH1088便に乗り込む。いつものように変更後の機材のレジ番号を確認するとJA131A、おおA321neoのトップナンバーか…。上空の天気は回復に向かっているようだったが、外はずっと白い雲の上、羽田には新しいルートでのアプローチとなり、新宿、渋谷上空を通過して34Rへ着陸。これだけ遅れたので沖止めもやむなしだったが、出雲に行かず米子折り返しのスケジュールを組んでいたこと、まさかのやくも7号での足止め、最後は帰りの便の出発が機材繰りで遅れたことで辻褄が合い、まさに結果オーライというべき冷や冷やな日帰り旅だった。
ANA・NH1088便・羽田行き