■旅日誌
[2009/7] 疾きこと風の如く
(記:2009/7/25 改:2022/1/1)
(記:2009/7/25 改:2022/1/1)
今回も毎度ながらの行き当たりばったりですが、お座敷列車に乗って甲府まで日帰りで行ってきました。三連休の最後の日でしたが、1日だけ空きができたところへある列車の予約状況を確認したら、うまいこと指定が取れたためそいつを利用することにしました。
※下線部をクリックすると写真が表示されます
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日帰り
前々から狙っていたというわけではないが、うまい具合に指定が取れたのでお気軽日帰りモードで甲府へ行ってくることにした。その指定というのは川崎と甲府の間を往復するお座敷列車で、ツアー以外の個人客にも開放されていた。普段はもっぱら団体臨時用だが、貴重といえば貴重かもしれない。単純にお座敷列車と言っても何編成かあるようで、今日は高崎所属のせせらぎがやって来ることになっている。とりあえず始発駅である川崎駅まで移動しておこう。南武線で先回りして、せせらぎを待つことにした。
定期列車の合間をぬってせせらぎが入ってきた。ダイヤに余裕がないので仕方がないのかもしれないが結構慌しい。発車案内には、臨時列車の表示ができないみたいで、無造作にJRとだけ表示されていた。今日これから乗り込む列車はお座敷もも狩りエクスプレスという愛称が付いていて、そのことばの通り、ツアー客はもも狩りツアーにでも行くみたいである。(後日談:秋にはぶどう狩りにもなるようです。)なお、この列車だが、肩書きは快速なので特急料金は発生しない。しかし、お座敷車両=グリーン車とみなされるので、その分は負担しなければならない。とはいうものの川崎から甲府まで乗り通しても4000円でおつりがくるくらいなので、びっくりするほど高いわけではなかった。
リゾート踊り子のときも珍しい列車で南武線を行くことになったが、こんなにすぐにもっと珍しい列車に乗るとは思わなかった。それはさておき、車内の着席率を見ると、団体客がいると混雑、そうでないところはそこそこ…といった感じだった。バスツアーも悪くないが、お座敷列車の方が居住性はいいようにも思える。出発するなり、すぐとなりでは宴会モードに突入、まぁ立場替われば…ということで、大目に見ておこうか。川崎を出たあと、武蔵小杉、武蔵溝ノ口、登戸と停まって、少しずつ客を拾っていく。普段は通勤電車しか走ってないので、ホームで居合わせた人たちの反応をみているのも面白い。その後、稲田堤、府中本町、分倍河原と停車、本当に快速が走ってたらこんな停まり方しそうだな…。続いて立川に着くのだが、ここではホームがない待避線に入って乗務員が交代し、時間調整となる。特急、ホリデー快速を含め何本か先にやり過ごしたあと、あらためて出発となった。
高尾を過ぎると列車のスピードもいく分上がっているようだった。右に左にとカーブをこなしながら高度を上げ、山間の上り坂を進んでいく。なんだか遠足にでも行くような気分になってきた。笹子トンネルを抜けると、車窓は一気に山梨にやって来たという感じになる。勝沼ぶどう郷、塩山、山梨市と停車するたびにどどっと人は降りていき、石和温泉を過ぎたあとはほとんど残ってる人はいなかった。お座敷もも狩りエクスプレス号は定刻で甲府へ到着。帰りも同じ列車の予約ができているので、5時間くらいフリーな時間がある。甲府というと、これまで通過するばかりで、乗り換え以外で降りた記憶がない。もしかしたら時間をとって滞在したことがない唯一の県庁所在地のような気がしてきた。どこへ行こうか?など、準備不足なところはあったが、とりあえず信玄公ゆかりの地みたいな場所には行ってみようと思う。で、まずは足の確保から、、、ということで近くのホテルでレンタサイクルを手配から始める。
1件目は全て貸し出されてるとかで断られてしまったが、2件目で無事に借りることができた。デポジット金1000円を払って今日の"相棒"とご対面、レンタサイクルについてだけは下調べしておいて正解だったようである。駅からちょっと離れてしまったが、ここからは北の方角へ戻って行かなければならない。最初の目的地である武田神社までは距離にして2キロほど、見通しのきく一本道だがダラダラとした上り坂なのが気がかりなところだ。案の定、最初のうちは快調だったが、最後は思いっきりへばってしまった。(苦笑)ヨレヨレになりながらも何とかく武田神社へ到着、少し足が震えるような感覚を覚えながら、参拝を済ませる。思ったよりこじんまりしていたが、いま上ってきた一本道を神社から見下ろすのは爽快である。続いてはここから程近い場所にある信玄公の墓へ向かうことにした。少し坂を下り、護国寺の方へ曲がった先に目的の場所がある。住宅街の中、ちょっと分かりづらいところだったが、そこには先客の姿もあった。信玄公の墓については諸説あるようだが、ここだという説が一番有力らしい。再び自転車を飛ばして次の場所へと向かう。
相当のぼったんだなぁ、、、当たり前だが、自転車は下り坂ほど楽なものはない。ブレーキをかけないとスピードはグングンと上がる。愛宕トンネルを抜ければすぐに行けそうだったので、甲斐善光寺まで足を延ばしてみることにしよう。トンネルの長さは800メールくらいあって、徒歩だとちょっと辛そうだ。まぁ、自転車なら何とかなる距離である。トンネルを抜けると、そこはまだ高台に位置しているようで、盆地の様子が何となく分かる。特に迷うことなく善光寺にはたどり着くことができた。甲斐善光寺は全国にある善光寺の中でも比較的大きなお寺で、山門もかなり立派だ。本堂に向かい参拝しておくものの、人の姿はまばらでとても静かである。ここの参道も南に向かって一直線に延びていた。下り切ったところの丁字路を右折し身延線のガードをくぐるとちょうど電車が善光寺駅を出発していくところだった。とりあえず街の中心部から東の方へ来てしまったので、次の目的地まで3、4キロ、西へ向かって移動しなければならない。ただ、今回はチャリンコという足があるので、さほど苦にはならないはずだ。繁華街まで戻ってきたな…と思ったら、最初に自転車を借りたホテルの正面に出ていた。う~ん、まだ地図が頭の中に刷り込まれてないな…。
幸いにも今日は厚い雲が出ていたので、強い紫外線を直接受けなくてよかったようである。ただ気温も湿度もそれなりに高かったので、快適というにはちょっとムリがある。とにかく先へ進むか、、、と思いながら自転車をこいでいると、追い抜いていったパトカーからお巡りさんが降りてきて、ふと声を掛けられる。「こんにちは…。」若いお巡りさんに、さわやかに挨拶されてしまったが、挙動不審者に見えてしまったのだろうか?「後ろのサドルがこうせり上がってるのはよく高校生が乗ってるんだよね。」はて、何が言いたい?意味が分からないぞ。「あ、これレンタサイクルなんですけど…」そういって『甲府市観光協会・8号』と印字されたラベルを指差す。「じゃぁこれ、1日とか借りて自由に乗れるんだ。」まだ何か言いたそうである。ここまで言っても盗品と疑われたら面倒なことになりそうだが「ふ~ん、、、」って、おいおい、まだ納得いかない?その間合いはなになに??ノートに何かメモろうとしたが手を止めて「じゃぁ、気をつけて」そういって無罪放免、無事釈放(?)となった。山梨の警察って、よっぽどヒマなのね…。それと観光協会さん、もし自転車買い替える機会があったら、次はサドルせり上がってないやつにしてくださいね。(苦笑)
気を取り直して再び自転車をこぎ出し、芸術の森公園までやって来た。ここまで来た目的は美術館を見学することで、自分でもよく分からないが、いつから美術館めぐりが趣味に加わってしまったかもしれない。(余談:ここ半年で3ヶ所目の美術館訪問です。上野の西洋美術館で観たルーブル展は特によかったですね。)敷地の中には文学館もあり、建物の前にある噴水が涼しげだった。美術館はその正面にあり、敷地の中には数多くのモニュメントもある。ここ、山梨県立美術館でのお目当ては何と言ってもミレーの作品で「落穂拾い」や「種をまく人」など素人の自分でも知ってる作品が鑑賞できるところは期待したい。箱モノ行政がいいか悪いかは議論が分かれるところだが、常設展の見学料500円だけで超一級品の名画が鑑賞できるのはすごいことだと思う。見学時間もたっぷりあるし、あがった息をクールダウンするのにもちょうどいいかもしれない。
美術館を後にして、少し遅めのお昼にすることにした。山梨といえば、何といってもほうとう、行きたいと思ってたチェーン店のお店がちょうどうまい具合に美術館の正面にあったので迷わずここに決める。かぼちゃのほうとうを注文し、エネルギー補給することになった。体力をつかった後だったので、こいつはもってこいだった。心も胃袋も十分満足したところで街の中心まで戻り、レンタサイクルを返却しに行く。その後、甲府駅まで移動する途中、まだ少し時間があったので甲府城跡に立ち寄ってみた。最後に信玄公の像を見たりして時間をつぶし、駅のホームに降りていく。甲府駅には身延線も乗り入れてるので普段見かけないJR東海の車両を見ることができる。その他にも貨物列車がやって来たり国鉄色のかいじ号が回送されてきたりと、それなりに飽きないものである。この時間ともなると上りの列車はかなり混雑しているのだが、これがリニア誘致にも影響するのだろうか?途中塩山駅で追い抜かれたはまかいじなんかも満員のようだった。帰りの便も行きと同じように、甲府を出たときはガラガラだったが、途中の駅で徐々に人が増えてくる。ただ、行きよりも時間待ちの場面は長かったようで、特に立川駅手前の待避線で何本も快速電車に抜かれたときはちょっと恨めしくも思えた。今回もまた急に思い立った小紀行だったが、未知の場所への訪問だっただけにそれなりに楽しめたように思う。それにしても、ネタは尽きないものだな。