■旅日誌
[2008/2] 中国・杭州出張
(記:2008/4/13 改:2015/11/1)
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またも急遽出張が決まり、中国の杭州というところへ行くことになりました。北京や上海のような大都会とは違って、風光明媚な観光地でした。仕事ではなくオフで行ってみたくなるようなとてもいい場所でした。
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 番外編
ルート概略
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中国・杭州
まさかこの時期に海外出張するとは思わなかったが仕事なんてそんなもの、ということで去年の北京以来、二度目の中国行きとなった。月曜、火曜の二日間丸々使いたかったので前日のうちに渡航するつもりだったが、日曜日は成田からの直行便が出てないということで土曜日の出発となった。土曜日がお休みだったら準備する時間も体を休める余裕も少しはあったかもしれない。どうしていつもこう慌ただしいのだろうか。中国で「こうしゅう」というと『広州』のことと思われがちだが、今回の目的地は『杭州』(ハンジョウ)。日本人にはあまり馴染みのない場所かもしれないが、上海から西へ200キロほど行ったところで中国でも屈指の観光地である。成田から直行便が飛ぶようになったのも最近のことで、ANAとJALが週に何往復か就航している。(余談:ちなみに関空からJALの直行便もあります。昔は上海から陸路かなり苦労して行ったようですが、いまでは高速鉄道=新幹線も通っています。その後、広州でCRHを利用したときの旅日誌はこちらをご覧ください。)
ANA・FLY!パンダ
別にJALでもANAでもどっちでも構わなかったが、ANA便の方が30分ほど出発時間が遅かったので今回はそちらを選ぶことにした。成田へ向かうことを考えると、午前中の早い時間の30分は結構大きい。重い体を引きずりながら、今日も渋谷から成田エクスプレスを利用する。どういう理由でそうなったのかはっきりしないのだが、往路はアップグレードがかかりビジネスクラスのチケットが入手できてしまった。今回は同行者と現地で落ち合うことになっているので、単身渡航である。成田空港で出国手続きを済ませ、折角なのでラウンジを利用してみる。搭乗口へ向かうと何と待ってた機材は『FLY!パンダ』、日中国交正常化35周年とANA中国線の就航20周年を記念した特別塗装機である。文字通りパンダ柄のデザインはとてもユニークでかなり目立つ。何となくさっきから人々の行動が気になっていたが、そうかみんなこの飛行機を見てたのか…。狙って乗れるものでもなくおまけに比較的マイナーな路線なので、毎度ながら不思議な引きの強さを感じる。
中国・杭州
杭州までは往路3時間半、復路3時間弱、台北よりも距離は近く東京-石垣と同じくらいである。こんなに天気がいい成田というのも過去に記憶がない。今日はこの先杭州までずーっと好天が続き、おかげでどんなルートをたどるのかはっきりと分かった。B767-300ERは暫定Bランから南側に向かってエアボーン、すぐに房総沖上空で2、3回旋回を続け一気に高度稼ぐ。その後東京の真上を過ぎていく。まるで地図を見てるようで、羽田からの飛行ルートとはまた違って楽しい。飛行時間はそんなにないので、ドリンクサービスに続いてすぐに食事の提供が始まる。メニューの違いからもCクラスにいることの優越感を感じる。CAさんのエプロンもヘッドレストカバーもパンダ柄で統一されており、極めつけはデザートの甘味ものまでがパンダの顔をしている。眼下の景色もとてもクリアで、富士山、名古屋、大阪、瀬戸内と案内がなくてもいまどこを飛んでるのかはっきりと分かった。
中国・杭州・霊隠寺
と、ここまでは快適な空の旅を満喫していたが、昨日の仕事の続きと週明けの準備不足を補うため、食事はさっさと済ませアルコールフリーの状態で仕事に取りかかる。映画を見る余裕もなくあとはひたすらPCに向かい合っていた。これがYクラスだった仕事にならなかったかもしれない。関門海峡の真上で最初に作っておかなければならない資料を書き上げ、あとは出張中に使う資料の中身を頭にたたき込みながら書き物を仕上げる。東シナ海に出ると向かい風が強くなり、巡航速度が落ちてくるのが分かった。
中国・杭州・霊隠寺
少し休憩しようと思ったらもう上海の上空にいた。着陸体勢に入り高度が下ると地表の様子が徐々に分かってくる。建物のデザインは日本とは全く違う。定刻より少々遅れたが無事杭州へ到着。ここで"パンダさん"に別れを告げる。杭州蕭山国際空港はそれほど大きくなく、特に迷うこともなかった。自分のバッゲージが一番最初に出てきたこととイミグレーションのお兄ちゃんが笑顔で「こんにちは!」と挨拶してきたのには少々驚いたが、杭州は北京のような殺伐とした大都市とは随分と違う印象を受ける。外に出て同行者と落ち合い、今日はのんびりとさせてもらうことにした。
中国・杭州西湖
杭州の中心地には西湖という風光明媚な湖があり、中国でも屈指の観光地である。空港から車で移動、市街をかすめて西湖近くのホテルへ行ってチェックインする。ちょっとお高いけどいいところなので…と勧められてはいたが、予想を遙かに越えたところだった。日本のお留守番組には、正直には伝えない方がいいかもしれない。ホテルというよりコテージというか、日本人向けのガイドブックにもあまり紹介されてないこれはいわゆる超穴場かもしれない。その昔、毛沢東の別荘だったというのは聞いていたが、ハード=建物だけでなく、ソフト=サービスも超一流だったのは、この後滞在中に何度も経験することになる。この日は西湖湖畔の茶館で杭州名産品の龍井茶(ろんじんちゃ)をいただきながら現地スタッフとしばらく談笑したあと、旧市街へ向かい夕食をして過ごすことになった。地元の人にも人気のありそうな飾り気のないレストランで味わった伝統的な杭州料理は、北京料理のようなギトギト感も四川料理のような刺激感もなく日本人の口にはとても合うものだった。
中国・杭州郊外
杭州は浙江省の省都であり教育レベルも高く、遣唐使ゆかりの地だったこともあり露骨な反日感情はそれほででもなく比較的穏やかだという。四季は東京よりもはっきりしており、今回訪れた2月は気温も低くあまり観光向きの時期ではなかったが、土日と帰国する日だけは天気予報も外れ穏やかな天気だった。(余談:案内してくれた日本語スタッフの方に「晴れ男」という日本語を教えてきました。)期せずして曜日の関係で日曜日は現地でお休みを取ることができた。現地スタッフの好意でちょっとだけ観光させてもらうことになった。霊隠寺と呼ばれる有名なお寺に向かい中を案内してもらう。中国禅宗十刹のひとつで、四世紀にインドの僧によって開山されたところである。いくつもある大仏像や五百羅漢を目にすると仏教のルーツと歴史の奥深さを感じる。あまりの人の多さに観光地化してる感もなくはなかったが、信心深く巡礼に訪れる人の姿も少なくない。こうやって実際に文化に触れる度に、もっと勉強しておけばよかったな…とつくづく思う。
中国・杭州西湖
準備不足が気掛かりではあったが、月曜、火曜の2日間を使って何とか無事に仕事は済ませることができた。こうやって現地プロジェクトメンバーと直接話をすることは、今後も仕事をしてく上でとても意味のあることだというのはよく分かっている。メンバーは皆一様に若く、しかしとても優秀で何しろ目つきと表情からモチベーションの高さがひしひしと伝わってくる。今回訪問した会社はこの2月に郊外に引っ越したばかりで周囲は空き地ばかりが目立つ場所にあった。ニュータウンというか工業団地というか、これから開発が本格化するだろう風景はあちこちで見られる。こうやって大陸のスケールを目前にすると、いまの日本じゃ絶対に勝てないなと…とあらためて思ってしまった。折角なので二日目の晩はPJスッタフと一緒に会食をすることにした。早い話、"白いお酒"で中国式宴会で盃を交わすことを意味するのだが、酒の強さはDNAの違い、また別の意味で大陸の強さを知ることになった。(笑)
中国・杭州西湖
慢性的な寝不足と白酒(ばいちゅう)の効用で一眠りして目が覚めると夜中3時半を回ったところだった。(追記:杭州と日本の時差は1時間です。)シャワーを浴びて熱い龍井茶で意識をはっきりさせると不思議とアルコールは抜けていた。(追記:杭州では湯船に浸る風習がないため、こんなに立派なゲストハウスでもバスタブはありませんでした。)TVをつけるとCS放送は50ch以上あり、各地方向けの放送もやっていた。言葉は分からなくても静かすぎるよりはいいので付けっぱなしにしていたが、もしや…と思ってチャンネルを変えるとNHKの海外向け放送をやっていた。たまりにたまった未読メールの山と格闘し、今回の訪問のお礼メールなど書いてるうちに夜が明けてきた。
中国・蕭山国際空港
お腹も空いてきたので朝食の時間を待ち構えるようにしてレストランに向かう。レストランがある場所も別棟、容姿端麗な女性スタッフが笑顔で何やら話しかけてくる。部屋のキーを示すと中国人でないことが分かりそこから英語に変わる。座席の案内、食器の上げ下げ、飲み物サーブと、とにかく徹底されていることがよく分かった。北京のときも、5つ星の超一流ホテルでもみな無愛想ででもそれが普通だと聞かされていたが、上には上があるものだ。料理の内容も種類も文句の付けようがなかった。食事を済ませ、最後に西湖のほとりをしばらく散策する。朝日に反射した水面はキラキラと光り、湖の先には高層ビル群のシルエットがかすかに見える。雷峰塔と手漕ぎの船の様子はまるで絵画のような美しさだった。今日はもうあとは帰国するだけなのだが、とてももったいない気がしてきた。(後日談:杭州にはあらためてプライベートで再訪する機会がありました。そのときの旅日誌はこちらです)
中国・蕭山国際空港